結論から先に書くと、小西議員公表資料に関連した3月7日、3月10日の2度にわたる総務省のリリース資料の内容を見ると、世間の関心をこの78枚の資料のみに留めようとする意図が隠れているように感じる。
したがって、総務省の放送行政の内実に迫るためには、この公開資料を見て、もう情報公開請求しなくてよいと判断停止するのではなく、この78枚のうち1枚でも含むすべてのファイルについて情報公開請求すべきと考える。その後、出てきた芋づるのうち、必要なものは引いて行けばよい。
違和感の内容を、以下に述べる。
まず、3月2日(木)に小西議員が公表した資料について、総務省は3月7日(火)に、「政治的公平に関する文書の公開について」の表題のもと、「すべて総務省の『行政文書』であることが確認できました」としてそのHPにて公開した。
かなり生々しい内容が書かれた文書群であるにもかかわらず、2営業日と非常にスピード感のある対応であった。総務省内の権力闘争の結果との解説も散見されるが、情報公開請求を抑止する目的もあったとの見方も矛盾はしない。
次に、3月10日(金)の「『政治的公平』に関する行政文書の正確性に係る精査について」として、作成経緯等を精査した結果を公表した。
このリリース資料では、78枚から成る資料は、48ファイルを束ねたものと整理している。精査を行うために、1枚1枚の原典ファイルにあたった結果ではあろうが、情報公開請求された際の公開範囲を最小限に留めることのできる効果もある。
民間の業務においても、ファイルをこのように細分化した形のみでは取り扱わないし、文書を読むことに長けた役人なら、20枚、30枚の資料を読みこなせるので、他にもこれら資料を含む多数のファイルが存在するはずだ。
それらファイルには、今回公開されなかった文書、総務省の放送行政の内実を垣間見ることのできる文書が含まれている可能性が高い。
小西議員への情報提供者は、恐らく自分にとって都合のよいものをピックアップ、都合の悪いものは削除しているので、この情報提供者が拾い上げなかったものを探ることは重要だ。
また、こうしたファイルは、何らかの意図をもって作成されているはずなので、その作成時期、作成担当者の所属などの情報も重要となる。原典の情報だけでなく、こうした派生資料についての情報からも様々なことがわかるのではないだろうか。
大手新聞、マスコミが本当の意味でジャーナリズムであるなら、こうした地道な取材をするべきではないだろうか。
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中村 哲也
団体職員(建設分野)