ジャニーズ事務所とビッグモーター:会社は経営者の顔の生き写し

日本の気象状況に暑中見舞い申し上げます。世界的な気候変動の枠組みとはいえ、尋常の域を超えていますよね。私は暑さが苦手で、その時期に日本に行けばアポの15分前に着いて空調のあるところで冷やさないと汗だけではなくカラダが上気して落ち着いて話に入れないです。

ここバンクーバーは暑いといっても26〜7度、乾燥しているし雨期こそあるけれど、台風もないし大雨もめったにないです。住みやすい街の評価基準は変わってくるかもしれません。

では今週のつぶやきをお送りします。

強いダウ、弱い日経平均

ダウは金曜日までかろうじて10連騰で史上最高値も遠くに見えてきています。決算は銀行などが思ったほど悪くはないこと、金利の上昇は来週のFOMCでの引き上げ決定が最後となる公算が高まったこと、夏で市場参加者も材料も少ない真空地帯ということもあるのでしょう。

一方、日経平均は微妙な状況で明らかに一時の勢いは無くなっています。チャート的にはW天井をつけた後、7月19日に下落トレンドの一つ目の節目をつけ、現在は次の下値を探る重要局面にあります。仮に来週、31700円を明白に割り込めば下げトレンド入りになります。

ただ、日本株が下げないネタもあります。それは円安。その円安は何処から来ているのかといえば日銀が来週、金融政策の修正をやらなそうだ、という予想が主流になっているからです。

先日、私はYCCを修正するなら今回が最後のチャンスと申し上げました。日本の6月の物価はアメリカのそれよりも高い3.3%。なのにアメリカが5%の金利、日本がほぼゼロ金利。雇用環境はほぼ同じ、物価も同等ならばなぜこれだけの政策の差が出るのでしょうか?

私は日銀政策が不要になっている、つまり、「永遠のハト政策」が歴代の日銀総裁に引き継がれ、利上げはパンドラの箱と化したからではないかとみています。ほぼゼロ金利は日本経済には当然メリットがありますが、金利上昇の耐性が全くないので企業財務も経営も欧米に比べてハンディをもらい続けてようやく経済の体面を整えている、ということだと思います。

日本の陽が沈んだ理由の一つは日銀政策が過度に優しすぎる、そして倒産や経済苦境を恐れた政府がどんどん甘い汁をばら撒いたことにあるような気がしてなりません。

ジャニーズ事務所とビッグモーター

今週はこの2つの話題にほぼ目を奪われた感じでした。特にビッグモーターに関してはマスコミの餌食で、お茶の間の人にはうってつけのネタ、おまけに次々といろいろな話が出てきて収拾がつかない状態です。ついには同社は修理業務を自主停止してしまいました。

z_wei/iStock

本件については数日前に十分書いたのであまり触れるつもりはないのですが、個人的な見解は息子の横暴ではないかとみています。創業者の父はたたき上げ、息子は早稲田からMBA、つまり理論武装でオヤジをあっさり凌駕したのです。おまけに社員も汗と油まみれになりながら仕事をする方が多い中で「あまたが良いご子息」として創業家の副社長となれば誰も勝てないのです。それが逆にビックモーターの陰部になったのではないでしょうか?

一方ジャニーズ事務所。ついには国連人権委員会に繋がる「ビジネスと人権の作業部会」が同社を調査することになりました。非日本人が調査すればどういう結果になるか、一目瞭然で今ここで調査予想を書けと言われたら概ね作れます。チャットGPTは出来ないけどヒロは書けます。

一方、こちらも茶の間の話題となったのが山下達郎やデヴィ夫人のジャニーズ擁護発言でそれは酷く炎上状態にあります。両名は明らかに勘違いをしています。「品行方正な人なら泥棒をしても許す」という理論なのです。

私はジャニーズ問題は発覚した時点で「ジャニーズ事務所は無くなる」とみていました。そもそも今の時代はテレビ主体ではなく、リアルからメタや仮想現実といった人畜無害な空想の世界を若者が追うのが主流となっています。つまりジャニーズを時代が求めていないのです。

ビッグモーターも無くなるかもしれません。理由は非上場企業で顧客の信頼をなくし、従業員との絆もずたずたなら維持できないのです。たぶん、もう少し詰まったところでどこかの会社が買収する、そんなシナリオがありえそうです。

会社は社長や経営者の顔の生き写しなのです。ジャニーズもビッグモーターも同様。その顔が泥まみれで傷だらけならば顧客は他の選択肢を選ぶ、ということです。

原発水、海洋放出

驚いたのは立憲の阿部知子氏が韓国の反対派と共に共同声明を出したこと。立憲の泉代表は個人としての意思を尊重すると言っていますが、彼女は理想論と現実論が分かっていません。

政治家は最終的には現実解を提示し、それを具現化させることが職務なのです。しかも科学の分析力をもってお墨付きをもらっているのに例えば福島瑞穂氏も韓国の慰安婦問題で話題となった尹美香議員と共に「ハンターイ!」声を上げています。

それは主義主張かもしれませんが、論理性に乏しいのに「もっと調査や検査を」と。日本の原発行政と同じで出来ない、やらない理由を並べるのが大好きなのです。

中国はもっと困った姿勢で日本の魚の全量検査するそうです。既に中国には日本の魚は実質的に入荷していません。理由は検査に2週間かかるので鮮魚が腐るからです。よって中国の日本料理店では中国沿岸で獲れた魚を提供しているそうです。中国もそこまで日本がお嫌いなら尖閣の近くまで漁業に来ない方がよいでしょう。

ちなみに以前も指摘した通り水産庁の定める魚の産地表示は「…国産生鮮魚介類の原産地は生産水域名(又は養殖地名)を記載することが原則となっており、水域名の記載が困難な場合は、例外として水域名に代えて水揚げ港名又はその属する都道府県名を記載することができる」なのです。

だから例えば「関サバ」はわざと取れた水域を記載し、より価値があるように見せる一方で福島沖の魚は「銚子産」「気仙沼産」になるわけです。よってこの理論から日本の海で獲れた魚も中国産で検査を免れる、という訳でしょう。

中国は明らかに政治的、外交的な嫌がらせでありますが、無意味であることは自明なので日本と取引を考えているのでしょう。日本が求めに応じるのか、日本が3倍返しできるのでしょうか? 黄砂問題とかネタはあると思うのですが。

後記
以前通っていた飲み屋が閉店し、さまよっていたのですが、お気に入りの飲み屋を遂に見つけました。カウンターに気軽に座れ、バーテンダーから名前で呼ばれ、躍動感ある賑わいがあることが条件でした。その店ではバーカウンターの向こうに海が見えるのです。天国ですよね。飲み屋の物価はビールは600mlで800円ぐらいで飲めますが、ワインは180mlで1500円ぐらいするので、ひたすらビール。夏なのでこれぐらいは楽しんでもバチは当たらない、ですよね?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月22日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。