黒坂岳央です。
「勝てば官軍」「世の中は結果がすべて」という言葉がある。これ自体は確かにそうで、特にビジネスの世界は基本的に結果が伴わないのにプロセスの評価をされることはない。されるケースがあるとすれば、人的魅力の訴求という部分に成功した場合に限るだろう。
では勝てば何でもいいのか?というとそうでもない。いい勝ち方、悪い勝ち方があると思っている。今回は悪い勝ち方について論考したい。尚、いい勝ち方はすべて本稿の真逆になることである。
人の恨みを買う
悪い勝ち方の筆頭は、誰かの恨みを買うような勝ち方である。
たとえば情報の非対称性を悪用して、半ば騙すような売り方をする会社は恨みを買うことが少なくない。「そんな会社が存在するのか?」と思われそうだが、意外なほどある。
実例をあげると、ITシステム代理店、不動産業、大手電話会社の代理店、広告などだ。もちろん、ほとんどの企業は誠実で善意でやっているが、相手の知識がないことに漬け込んで言葉巧みに割高なサービスへの申込みへ誘導して稼ぐ。
顧客が後から割高だと気づいても後の祭りで、もはや年間縛りの違約金がかかる状態にはめ込まれていることも少なくない。最近はさらに巧妙な手口で、そもそも騙されていることに気づかせないようにすることもある。
このような売り方で「過去最高売上を更新!などと自慢をされても、多くの人の支持を得ることは難しい。相手から嫌われることは仕方がないが、絶対に恨みを買ってはいけない。
運がいいだけのまぐれ勝ち
ビジネスの世界はどんな商売でもライバルがおり、原則ライバルより魅力を訴求できた商品サービスが売れて生き残る。だが、本来は負けておくべきなのに、単に運が良かっただけのまぐれ勝ちを経験するのは本当に良くないと考えている。
たとえば発信活動において、AIアルゴリズムの勧めに乗って偶然バズって大きく拡散される、という勝ち方である。過去の勝ち方から再現性を見出し、狙って次のヒットを出せるような経験につながればいいのだが、本当に運によるヒットもある。一度、そうした勝ち方を経験してしまうと、二度目も再現性のないヒットを狙って永遠に三振が続くことがある。
仕事は効果の出る施策を数多く実践することで、小さくあたりを積み重ねるゲームルールであることが多い。1回大きなホームランを当てても、それに続くヒットが出ないなら、むしろ偶然のホームランは本人のビジネス感覚を狂わせてしまうので損と言える。
運に助けられたヒットを「自分は天才だ」と盲信したことで消えていった人は数多く見てきた。まぐれ当たりで謙虚さを忘れるべきではなく、仮にあたっても自分の実力などとは絶対に考えないほうが良いだろう。
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周囲からの評価は結果だけで判断されると書いたが、あくまでビジネスで勝負する本人の視点でいえば、プロセスを重視するべきだと思っている。プロセスが潜在顧客から支持を得られ、必然の積み重ねができているなら必ずしも今の時点で結果が出ているかどうかは重要ではない。正しいプロセスの先には然るべき結果が待っており、後は時間の問題だからである。
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