人に仕事をお願いしたいが、忙しそうだし断られるのが怖い。そう感じて思うように仕事を依頼できない人も多いだろう。しかし実は、依頼の仕方を少し工夫するだけで気持ちよく仕事を引き受けてもらえるようになる。
そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、仕事をうまく依頼する方法と考え方について、再構成してお届けします。
人にお願いするときの罪悪感の正体
仕事を人に委託することの大切さは多くのビジネス書で書かれている。君も実感したことがあるだろう。しかし実際にうまくできている人となると、意外にも数は少ない。理由はさまざま。自分でやったほうが早いとか、ほかの人も忙しいはずだから罪悪感でお願いできないと感じる人も多い。
自分が苦手な仕事を人にお願いするとなれば、なおさらだろう。なんだか荷物を他者に持たせて自分はラクをしてるように感じるからだ。少なくとも昔の私はそう感じていた。
しかし働き方を見直しているなか、苦手な仕事を中心に実験的に人を頼ることにしてみたのだ。その実験からおもしろい気づきを得た。それは頼む人や内容を間違わなければ大半の人が快く引き受けてくれるということだ。これは自分が依頼される側として想像すれば簡単にわかる。
たとえば見知らぬ人から道を聞かれたとしよう。たまたまその道にくわしかったので丁寧に教えてあげたらとても喜ばれた。感謝されたことで「役に立ててよかった」と自分も嬉しいのではないだろうか。これは仕事でも同じだ。たとえば君はエクセルが得意だとする。同僚から「エクセルの操作を教えてほしい」とお願いされたらどうだろう。私なら喜んで教える。
相手に気持ちよく仕事を引き受けてもらうための2つの条件
人は基本的に誰かの役に立ちたいという欲求を持っている。自分のしたことで相手の状況が改善されたならば、どんな些細なことであったとしても嬉しいはずだ。もちろん例外はある。それは自分自身に余裕がないとき、あるいは負担を感じることをお願いされたときだ。
昔の私もそうだったが、時間に余裕がないなか頼みごとをされると「いや、それくらいネットで調べて自分で解決してくれ」と思ってしまう。また、たとえ自分が得意なことだったとしても「いや簡単に言うけど、それ完成させるのにどれだけ時間がかかると思ってんだよ」と思うことであればさすがに嫌になるだろう。
相手に気持ちよく仕事を引き受けてもらうためには、次の条件を満たすこと。そうすれば相手が喜んでやってくれることを私は経験を通して学んだ。
- 頼む相手側に多少でも余裕がある(少なくとも一杯いっぱいではない)。
- 依頼内容が相手にとってそれほど負担ではない(相手が得意ならば、なおよい)。
この気づきを得られたのは大きかった。仕事を頼むことに罪悪感を感じなくなったからだ。頼む相手をきちんと選び、タイミングを間違えなければ、自分が苦手な仕事でも相手は喜んで引き受けてくれる。
苦手な仕事はどんどん人にお願いしよう! ただし忘れてならないのは、対応してもらえたときはきちんと感謝の気持ちを伝えること。役に立ちたいという相手の気持ちに甘えず、「忙しいなか対応してくれてありがとう。とても助かったよ」と言葉にして伝えよう。それこそが円滑なコミュニケーションだ。
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滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月9日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。