高級ホテルでも存在感が薄れる日本人

Panuwat Dangsungnoen/iStock

高級スキーリゾートの北海道ニセコでは、冬場になると宿泊費が高騰します。その結果、来場者のほとんどが外国人となり、日本人を見かけることが極めて少なくなると聞きます。

先月の北海道スタディーツアーでニセコのパークハイアットホテルで食事をする機会がありました。ハイシーズンではありませんでしたが、ホテルのスタッフのほとんどは日本語をしゃべれません。日本国内にも関わらず、英語でのコミュニケーションがデフォルトになっていました。

今回、京都のホテル・ザ・ミツイに宿泊していますが、こちらも宿泊客のほとんどが外国人です。数日間の滞在中に日本人宿泊者を見る事は結局1度もありませんでした。

ホテル内で食べる朝食の和食のメニューが変わっていました。以前来た時は、お魚を3種類から選ぶことができたのに、今回は選択肢がなく日替わりになっています。

日本人の宿泊客が減って、朝食に和食を選ぶ人が少なくなったために、和食の選択肢も少なくなってしまうのだと思いました。

日本人の人口が減少するだけではなく、円の相対的な価値の下落によって経済的な存在感も薄れる。それに伴い、高級ホテルに日本人がお客さんとして来ることが少なくなる。そうなると日本人客のためにきめ細かな対応をしてくれることも少なくなります。

世界の中での日本の存在感がどんどん希薄になっていく。それによって日本人の旅行の選択肢が減って、日本語でのコミュニケーションも出来なくなっていく。

楽しい旅行に来ても、日本の没落をリアルに感じてしまうのは何とも寂しいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。