すべて黒塗り!世田谷区庁舎整備賠償交渉の闇

世田谷区議会では第2回定例会が開催されている。ひえしまは初日に代表質問に立ち、2年ほど工期が遅延する本庁舎整備などを中心に質した(動画はコチラ)。

世田谷区はこれまで、施工主の大成建設と賠償交渉を続け、今年3月に合意書を取り交わしている。しかし、これを「和解」として扱っており、区民から「大成が悪いのに、なぜ和解なのか?」と疑問の声が上がっていた。区は「法律上の争いを互譲して、紛争を解決する場合に適用されるものを和解とする」と答弁しているが、問題の核心は言葉の使い方にあるのではない。

委員会などでの区による賠償交渉に関する説明では、「大成側に一方的に非があるので、区の言い分をよく聞いてもらえている」ということだった。しかし、億単位の金額を扱う交渉で、すんなり事が運ばれているとは到底思えず、双方の一連の交渉メモを情報開示請求したところ、なんと全24ページすべてが真っ黒だったのである!

保坂区長は私の質問に対して、区と大成側に見解の相違や意見の食い違いがあったことは認めた。ならばなおさら、交渉メモを公開しなければ、納税している区民に具体的な中身がわからないのだし、わからないままならば、議会としてもこの件にまつわる今後の議案審査が正しく行えない。区は公開できないの一点張りだが、そうなると何を隠したいのか余計知りたくなる。

今回、世田谷区は大成建設が16億円支払うことで合意しているが、わが会派の試算では最大58億円を請求できるはずなのだ。しかし、どういうわけか、保坂区政は最初から交渉に弱腰だった。そうであれば、区民には顔向けできないほどの、あまりにも軟弱な(と言うか、やる気のない?)世田谷区の真の姿が、黒塗りの下に隠されているのではないか、と疑わざるをない。議場では速やかな全面公開を求めたが、回答はなかった。

保坂区長はこれまで、情報公開の推進を看板に掲げてきたが、いざ自分に不都合ならば、かように黒塗りのノリ弁資料を出して恬淡として恥じない。代表質問では、区長の地方自治法改正の反対運動についても取り上げたが、リベラルと目される人物に限って、権力者になると、とたんに独裁的になるのは歴史が証明している。