天皇皇后両陛下が国賓訪問のために、昨日の午後、ロンドンにお着きなった。本来なら、東西世界を代表する天皇と国王の出会いであって、素晴らしく華やかな行事になるはずだが、実態は、なんのためにこんな時期なのか首をかしげざるをえない。
日英君主の相互訪問は、1972年に昭和天皇が訪英され、1985年にエリザベス女王が訪日された。
しかし、平成になってからは、両陛下が1998年、2007年、2012年と三回連続訪英されたが、エリザベス女王は平成年間、いちども訪日されなかった。女王はカナダに23回とか英連邦への訪問が多いのは当然だが、アメリカ、フランス、ドイツなどには数回以上、訪問されており、日本がただ一度だけというのは、非常に奇妙なことだった。
もっとも、最晩年の女王は外遊されてなかったから、今上陛下が即位されたあと、英国を訪問するように招待されたのは仕方がないことだった。しかし、女王の死去で適わず、女王の葬儀に両陛下が参列されたのもまあいいとしよう。
しかし、女王が亡くなった以上は、日本から英国への訪問が四回つづいているのだから、英国王が訪日するのが先であって、この訪英はいかにも不自然なことだ。
さらに、いまチャールズ国王はがん治療中だ。また、キャサリン妃もがん治療中だ。しかも、皇后陛下雅子さまも体調が良くない。さらに、英国は総選挙の真っ最中である。
そこで、なんとも、中身の薄い日程になった。二日目の23日は陛下はプライベートの行動で雅子さまはホテルでお休み。24日も同じで陛下はプライベートの行動で雅子さまはホテルでお休み。25日は両陛下おそろいで歓迎式典で昼食会と夕食会。26日は陛下のみシティ関係者などとの夕食会など。27日は国王夫妻に挨拶だけは両陛下だが、エリザベス女王の墓参は陛下のみ。28日はオックスフォードに私的に遊びに行かれるとのこと、そして29日に帰国である。
キャサリン妃は先日の国王誕生日の行事には久々に出席されたが、両陛下の歓迎行事はパスされると発表されている(サプライズで登場もあるかもしれないが)。
スナク首相とははじめは昼食会が予定されていたが、キャンセルしてきた。
習近平主席が訪英したときの空前の好遇と対照的な寂しい日程である。もし、病気の国王への見舞いなら、ほかのヨーロッパの国を訪問するついでに立ち寄る方がよかったのではないか。
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『英国王室と日本人:華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館 八幡和郎・篠塚隆)