会社の夏休みがもうすぐ終わります。地震や台風で番狂わせになった方も多かったと思いますが楽しい思い出ができたでしょうか?
「暑い日本、そんなにお金を使ってどこに行く?」という標語を作ったほうがいいと思うぐらいですがインドでは一時期50度近い気温を記録することもあり、日中の活動が出来ない状態もありました。いくらインド人が暑いのに慣れているとはいえ人間のカラダには限界があるもの。強烈な地球温暖化で我々の日常の活動は否が応でも制約されるようになってくるのでしょうか?
では今週のつぶやきをお送りします。
株式市場 「夏のお化け」は台風が吹き飛ばしたか?
株式市場に興味がある人はイベントなどでの専門家の講釈に素人投資家がうんうんと頷いているシーンを見たことがあるでしょう。参加者はある程度年配の方が多く、真剣にその高説に耳を傾けています。講師はまるで神様で思し召しを一言も聞き逃すまいとする姿勢には「その姿勢、ご立派、ご加護あれ」と申し上げます。
ですが、私はこのブログを17年間書き続けて言い続けたことがあります。ものごとは一面から見ただけじゃダメ。見る角度を変えれば違った形に見える、と。
専門家の講釈は一面からの解説であり、いい加減そのもので前言撤回は当たり前、その責任も一切なし。「あれ、俺そんなこと、言ったっけ?」です。株が大暴落する直前のこのブログでは「誰も想像してないかったこの下げに様々な理由を並べるメディアや専門家がいますがそれは全部無視でよいと思います。プログラム売買が一方的な動きを見せている、それだけです」と申し上げましたが結果を見ればそうなっているのです。
今週の市場のムードは絶好調、アゲアゲ基調なのは「アメリカの経済はやっぱり軟着陸できそうだ」という御都合のよさもあります。キャリートレード一部復活も追い風です。暑い夏も外にいれば酷暑、部屋の中なら快適ですが、この違いを専門家は「暑い」「心地よい」と好き勝手に放言するのです。
ではお前は今後をどう見ているのか、と言われれば秋の落とし穴には気をつけるべきだと思っています。トリガーが何かはわかりません。わからないから何か起きた時、市場は過剰反応するのです。
ただ一点だけ述べると金(ゴールド)の価格だけは極めて堅調に上昇しています。この意味は他の金融資産にリスクを感じている層といざという時の備えを厚めにとっている中央銀行の動きが背景であり、一種の保険を皆で購入している状態だという点はご理解頂いた方がよいでしょう。「夏の宴のあと」は寂しいですからね。
自民党総裁選と都知事選の共通点
先ごろの都知事選に56人立候補したことは茶の間の話題になりました。300万円で売名できるなら安いよな、これが理由でした。つまり95%の立候補者は自分が都知事になれるなんて微塵の思いもないのです。
思い出してください。トランプ氏が初めて大統領になった時、氏は「自分が当選すると思っていなかった」と述べています。自己顕示欲はマズローの要求段階説の5段階のうち4段目にあたります。人々は日々の生活の満足感から自分をいかに目立たせるかという段階に入ったわけです。そして一番上のランクが自己実現欲ですから都知事選なら5%の人(つまり2-3人)だけが本当に都知事になりたいと思って勝負していたということになります。
では一カ月後に迫る自民党総裁選。岸田氏が出馬しないこと、及び岸田氏が様々な方の立候補が望ましいというスタンスを示したことで都知事選の二の舞が予想されています。今名前が取りざたされている方だけでも10名近くいるでしょう。20名の推薦人集めが一つのハードルになり実際に出馬できるのは物理的にそこまで多くはならず、5-6人ぐらいになりそうです。
ではその方々の中で本当に総理になりたいと思っている方が何人いるかです。一部の人は「総裁選に参加することに意義があり」なのです。理由は自分が何票取れるかは自分の成績表であり、その結果次第では自分の議員生活の身の振り方の判断ができるからです。
その点では都知事選の時も「私を支持してくれた5000人もの方がいた」といったコメントからは「そうか、この人は一番になりたかったのではなくてフォロワーが5000人欲しかったんだ」ということなのです。正に自己顕示欲そのものといえないでしょうか?
スターバックスのドタバタ劇
スターバックスのCEOが解任され、新たに人気メキシカンフードチェーンのチポトレのCEOブライアンニコル氏を無理やりヘッドハントしました。傍で見ていると力技が凄すぎだと思います。水面下で準備していたようですが基本的には解任されたCEOの手腕が酷かったこと、特にイスラエル問題では創業者がユダヤ人であることもあり、親イスラエルの姿勢を取り、同社の組合がパレスチナ支持を訴える中、組合に訴訟を起こすなど社内での内紛も激化したことで統率能力を問われたものです。
大技のCEO争奪には対価がかかるのもこれまた事実。ニコル氏の移籍費用を含めた支払いは150億円規模、また、ニコル氏の現在の居住地はカリフォルニア、ニューポートビーチでスタバの本社はシアトルにあります。そこを引っ越さずに遠隔業務でもよいというのが今回の破格条件として話題になっています。
私はスタバがアメリカの文化として浸透し始めた90年代にシアトルと深い縁があり、住んでいたこともあるし業務で通っていたこともあるので「あの時代のあのスタバ」のイメージを理解しています。それはコーヒーを飲むというよりコーヒーを媒介して人々に安らぎを与えるもので小銭で得らえる小さな幸せでした。皆がスタバのコーヒーを持って歩くことにスタバ教が生まれていたとも言えます。
でも今は違います。それは会社が大きくなりすぎて本来あったあの良きスタバのイメージが壊れたからでしょう。旨いコーヒーは世の中にいくらでもあります。ですが、ファンを囲い込むのは至難の業でどうやってストーリーを立て直すのか、ニコル氏の課題はたやすくないと思います。
後記
今年のお盆休みは久々に日本や他国からの来客ラッシュで先週、今週はてんてこ舞いです。朝昼晩誰かをご接待という感じで通常業務もいつも以上のボリュームの中、久々にくたばっています。あと一週間ぐらいで解放されるので気力で頑張るしかないです。
しかしこの物価高の北米に多くの方は音を上げています。あるご家族の方が泊まっている私の家の真ん前にあるホテルは一泊8万円。あるアメリカ人から高級中華料理店に招待されたのですが、麻婆豆腐が一皿1万円!サンフランシスコの高級ホテルで朝食を家族で食べたら数万円だったとかレンタカーを借りてホテルの駐車場に停めたら駐車料金一晩1万円といった料金体系は無謀なのか日本が安すぎるのかわかりません。住んでいる私にはほぼ無縁の話ですが。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年8月17日の記事より転載させていただきました。