「読書離れ」は本当か?さあ、スマホを置いて本を手に取れ!

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“読書離れ”が進んでいるというニュースがありました。本を1か月に1冊も読まないという人が6割を超えたという調査結果を、文化庁が公表したのです。1か月に読む本の数を尋ねたところ「読まない」が6割を超え、過去最高となりました。

「読書をする時間がないこと」と「スマホの普及が原因」との結果でしたが、これは読書離れの理由にはなり得ません。スマホ読書、スマホゲーム、ネットニュースなど、活字離れは起きていないことになりますから。

読書をする時間は、簡単に増やすことができます。たとえば、スマートフォンの利用時間について次のようなデータがあります。NHK放送文化研究所が実施した調査によると、「スマートフォン・携帯電話」の利用時間は、世代全体で1日あたり平均1時間18分という結果が明らかになっています。

20代は男女とも3時間半近く使っています。20代以上では、年層が上がるほど、利用時間が短くなっていきますが。男女30代で2時間以上、男女50代でも1時間以上利用しています。全体の1時間18分のうち、自宅外27分に対し、自宅内51分と、自宅内での利用時間のほうが長いという結果も明らかになりました。

20代は、男女それぞれ、自宅外の利用が1時間13分。これに対し自宅内は、男性2時間13分、女性2時間15分と、いずれも自宅外での利用を1時間上回っています。よく使っているのは家のなかということがわかりました。

これらの結果から、若年層だけでなく、シニア層もスマホを日頃から活用していることがわかります。現代において、スマートフォンはコミュニケーションや情報収集を効率化しただけでなく、エンターテインメントを提供してくれる最も身近なツールとして、家のなかで楽しんだり、くつろいだりする時間に欠かせないものになっています。

そのスマホを1日のなかで一定時間触れない時間を決めたり、目の見えない場所に置いておけば、本を読む時間はつくれるのです。活字離れなど起きていないのです。

さあ、スマホを置いて本を手に取りましょう。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)