頻発する強盗事件を憂う:若者が金欲しさに闇バイトをするその背景

どうも今回の衆議院選挙に個人的興味が湧きません。昨夜当地の大学の日本研究所が主催した日米加の学者6人が見る選挙動向では概括として「イシバは今までとは違うが政策実効能力は不明」で選挙結果に対する興味はあるけれど誰一人、石破氏の政策に興味深いという人はいませんでした。特に最低賃金1500円達成には年あたり7%も引き上げる必要がありそんなこと不可能と一刀両断。できない公約を掲げる現政権とひたすら裏金問題追及で自民追い落としをはかる野党では論点に全く面白みがないということなのでしょう。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

トランプ相場???

アメリカの株式市場が好調です。特にここに来てトランプ大統領が大統領選を制するのではないかという憶測からトランプ関連銘柄を中心に好調さが目立っています。更に半導体のTSMCが好決算をたたき出し、エヌビディアが連れ高となっているなどハイテク株にも触手はあり、ダウがだめでもナスダックがあるさ、という感じに見えます。トランプ銘柄の一つ、仮想通貨関連はビットコイン価格の上昇でその関連株を含め「宴の状態」ですし、同氏のメディア、トゥルースソーシャルの運営会社も復活劇を遂げようとしてます。

一方カナダは来週23日に開催される中央銀行の金融政策決定会合で0.50%の利下げが見込まれており、不動産やREIT関連に上昇の拍車がかかります。世界が利下げサイクルに入っているので株価には強い追い風となるほか、中国からは小出しながらも景気を刺激するような話がポツポツ入ってきています。習近平氏が昨日、科学技術は中国にとって最重要といった趣旨の発言で中国テック株が大きく上げるなど中国関連もこのところ一喜一憂という感じになっています。

その中、日本株は日経平均が一時4万円を奪取したものの朝高引け安の陰線が連続8本という冴えなさを呈しています。特に欧州勢の売りが大きいとされていますが、世界で株高となれば日本に資金を廻すよりアメリカや香港に回すという海外資金の回遊性、更に選挙を控える中、動きづらさがボディブローのようになっており世界で取り残される形とも言えます。ただ、メガバンクを中心とした金融株や日立のような業績期待がかかる銘柄はしっかりしており選別物色が続くとみています。

北朝鮮のウクライナ戦争への派兵

大々的に報じられている北朝鮮のウクライナ戦への派兵になぜかNATOの事務総長は「確認できない」としていますが、ゼレンスキー氏や韓国筋をはじめ、多くの情報源からほぼ間違いなく本格的な派兵を行い始めたとみています。人数的には1万2千人程度と報じられており、北朝鮮軍全体から見れば1%程度で国内防備が甘くなるという水準ではありません。そのような視点よりもむしろ、金正恩氏が血を流す同盟関係をプーチン氏と結ぶという踏み込み方にやや驚きがあるのです。

仮にウクライナ戦でロシアが有利な展開のうちに終わった場合、多少の兵士の損失は有れど引上げ兵は英雄視され凱旋すらあり得るでしょう。一方、厳しい戦いになった場合、金正恩氏の判断に軍部から突き上げがある公算もあります。北朝鮮軍にとって唯一のメリットは実践訓練をすることで国防により厚みができる点です。ただし、北朝鮮軍の主力である陸戦部隊がそのターゲットして考えられるのは対韓国に留まります。それが現実的かといえば私には想像しがたいものがあるのです。仮に南北間で戦闘状態になった場合、韓国側が持つ最新兵器やドローンに対して北朝鮮が防御できるとは思えないのです。

個人的には最近の金正恩氏の動きが読みにくくなったと思っています。先般記事にした「久々に出てきた北朝鮮ニュース」でも書いたように娘を表舞台に出す、金与正氏の韓国への嫌がらせ、更に南北道路の爆破などやや過激とも思える判断が繰り返されています。このような動きは当然、金正恩氏の指示のもとに行われているはずですから同氏が踏み込まざるを得ない何かがあるのだとみています。よって今後、想定外の行動を行うことも大いにあり得ると見たほうがよく、にわかに東アジアの地政学的リスクが注目されてくる公算も考えたほうがよさそうです。

頻発する強盗事件を憂う

このところ関東を中心に強盗事件が頻発しており、その手口に窓ガラスなどを破り侵入後、緊縛し、金品を奪うケースが報じられています。中には被害者が死亡するに至ったケースも出てきており、その犯人の元締めはトクリュウとされます。このトクリュウとは匿名流動型犯罪グループの略称、「匿流」であり、トクリュウという名称のグループがいるわけではありません。ではその犯人グループですが、いわゆる半ぐれで暴力団組織とも違う形態ではないかと察しています。

暴力団は少なくともかつては仁義があり民間人は巻き込まないのが原則でありました。が、半ぐれはそのような掟がなく自己満足型である上、トクリュウの特徴はSNS型の薄い接点であり、チームが固い結束と計画性で犯行をするのではなく、犯行現場に行くと名前も知らない仲間がそこにいてそいつと素人くさい強盗を行い、そのカネを上納する仕組みです。テレビに映る捕まった犯人の多くが20代程度の若者で顔つきはどう見ても悪人に見えません。闇バイトに手を出した理由は「金が欲しかった」であります。

若者が金欲しさに闇バイトをするその背景は何でしょうか?今の労働環境なら仕事はいくらでもあるはずです。多分仕事をしても続かない、怒られる、辞める、やる気をなくす、だけど楽して金を得たいという話なのでしょう。少し前、東京のあるスーパーで買い物をしていたら年配の店員が若い店員に小声ながら店の中で叱責していました。辱めですね。一部の若者に粘りや我慢が無くなり、一連の犯行では手口が動物的で理性が全く見られないのです。つまり人間として全く不完全、歳だけとり体も大人になったけど人間教育がなされていません。その理由は本稿では書ききれませんが、私はスマホとAIの時代の功罪は無視できないと考えています。

Chainarong Prasertthai/iStock

後記
自分の会社の決算真っ只中、次々と入るEmailからは悩ましい内容のものばかり。いくらマルチタスクをこなしてきた私でも今週は完全ギブアップ状態でした。決算数字は水曜日に取りまとめて会計士に全部送るも今度はそのしわ寄せのように次々と陰鬱になるような話ばかりで久々に「やってられん!」状態でした。ふと思うのはこんなプレッシャーの中で実務をこなせるのもあと何年だろうという点。自分の能力が十分に発揮できなくなった時、誰がそれを補うのでしょうか?忙しくなった理由は私の事業が増えたというよりあらゆることがスムーズに運ばなくなり問題解決能力が下がり、「ひろに聞け」的な相談が増えていることです。「よろずや ひろ」ではしょうがないですよね。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月19日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。