世論調査は萩生田劣勢で緊迫:清和会幹部の当落

衆院選東京24区で自民党公認が得られず無所属で出馬している萩生田光一元政調会長が、立憲民主党の有田芳生に世論調査では劣勢という数字がいくつか出て予断を許さない状況である。

左:萩生田光一氏 右:有田芳生氏

もっとも野党も参政党の与倉さゆり、無所属の畑尻文夫、国民民主党の浦川祐輔、日本維新の会の佐藤由美が立候補して乱立しているし、その中で最有力の有田芳生氏の過激さにはついていけない人も多いし、萩生田には地力があるので逆転を予想する人もいる。

しかし、状況が緊迫していることは、桜井よしこ、安倍昭恵、髙市早苗など保守派のアイドルたちに加えて、維新の候補が出ているのに、松井一郎元代表が応援に乗り込むといっていることからも分かる。

「一緒に謝ってもう一度チャンスをお願いするつもりです」というのだが、なにやら自民党の山崎拓元副総裁が辻元清美の応援に入ったのを思い起こすが、違和感が強すぎていいのやら悪いのやら分からない。

攻める有田陣営も強気で、萩生田演説の最中に視覚的にテレビカメラにも入る位置で、「ウラ金 2728万 萩生田」と書かれたポスターを掲げ抗議活動を行った男性が現れ、萩生田陣営がのぼりを持ち出し覆い隠したりもめていた。

萩生田は清和会五人衆のなかでも、西村康稔と並んで総理を狙える人材と言われてきた。政策通・国際派である西村のような正統派の首相候補ではないが、政治力においては抜きん出て、森喜朗元首相や小池百合子知事とも太いパイプを持つ。

ただ、旧統一教会とも親密であったと批判されたり、東京28区で公明党が候補者の擁立を希望したのを押し切って、親密な候補を自民公認として押し込み東京都における自公の全面的な絶縁状態を引き起こしたりした。

八王子は創価大学や富士美術館など学会の重要施設もあり、協力関係もあっただけに創価学会、とくに女性部など裏切られたという感情も強く推薦も出せない状況だ。

さらに、YouTuberとの無用なトラブルも打撃となっている。「2ちゃんねる」開設者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之が旧統一教会との関係を指摘した投稿をしたことに対して、投稿削除要請を高圧的に行ったことを意外にも「萩生田光一事務所です。ひろゆきさん、先日は丁寧さに欠ける投稿をしてしまい失礼いたしました」と謝罪して、堀江貴文に「ひろゆきなんかに謝るんだ笑」とからかわれた

萩生田光一氏、ひろゆき氏に「法的措置対応」から一転「丁寧さに欠ける投稿を」と謝罪、事務所X(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース
 派閥裏金事件を受け、衆院選で非公認となった自民党前議員の萩生田光一氏(61)が11日までにX(旧ツイッター)を更新。「2ちゃんねる」開設者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏(47)に対して行っ

あるいは、萩生田がLGBT問題についての「変節」したと批判し、ビラを八王子市内で撒いた深田萌絵にも自民党名で上から目線の手紙を送ったとうことについても、厳しい反撃をされジュネーブの国連機関でも批判のスピーチをされている。

このあたり、相手が弱いとみて上から目線で対応して、失敗したともいえる。

ここで野党が幅広い支持を得やすい候補に調整すれば勝てたのだろうが、スターリンの名をひきついでヨシフという名だといい、拉致問題での独自の動きにも賛否があって無党派層を引きつけるには問題がある有田芳生では、勝たせたいと思わない人も多いということに救われるかもしれない。

残りの清和会幹部では、松野博一元官房長官はもともとクリーンな政治家として通ってきたし、政倫審でも説明もしたので、公認は得られたが、都市部の選挙だけに苦しさもあるし、公認がとれているだけに萩生田氏のような危機感に乏しく、それが意外な苦戦になって予断を許さない。

外部からの応援は原則、断ってきたようだが、岸田文雄元首相が応援に入った。内閣の要であり、清和会とのパイプだった松野を官房長官から外さざるをえなくなったのが岸田内閣崩壊のきっかけになったともいえるわけだし、そもそも、清和会の事務総長というのを重要ポストという誤解につぶされたようなものだ。

禊ぎを受けた清和会所属議員が適切に適正な扱いを受け党内融和が実現するためのキーパーソンとなるべき存在だけにこの人は大事にしたい。

西村康稔元経産相は非公認にはなったが、不記載額はわずか100万円でこの金額で非公認は厳しいとかえって同情も集まっている。事件後もフットワーク良くお詫び行脚もしており、公明党もいちはやく推薦を出した。もしトランプ政権になった場合の関係を律するキーパーソンの一人だ。

状況が明るいのは、世耕弘成元参議院幹事長。事件の発端となって有罪判決を受けた、松本淳一郎清和会事務局長を送り込んだだけに批判も強いが、二階俊博の息子が公認を得たところに無所属で乗り込み、背水の陣が評価されたか、いまのところ優勢らしい。これまで選挙の応援に参加できなかった元民主党所属参議院議員だった林久美子夫人も投入している。

高木毅元元国会対策委員長は、髙市早苗前経済安全相の夫である山本拓元議員も出馬して厳しい情勢。山本氏も厳しいようだが、髙市早苗が応援に入るかが注目の的。