バカ正直は損をする! コミュニケーションには「ズルさ」がいる!
心理学で裏付けられた悪用厳禁なズルいコミュニケーションテクニックをまとめました。
「一瞬で印象を操る ズルい話し方」(岸正龍 著)きづな出版
[本書の評価]★★★★(80点)
【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
高根の花にはこうすべき
社内でモテモテの美鈴さんは深田恭子似の美人さん。男性社員にとって高根の花です。そんな美鈴さんに井上君は恋をしました。美鈴さんの目の前にそびえ立つ山はエベレストより高いと評判ですが、井上君はどうしても諦めきれません。どのようなテクニックを使えば、落とすことができるのでしょうか。
「とっておきの心理術をお伝えしましょう」と答えるのは岸正龍さん。
芸人→コピーライター→デザイナーを経て、名古屋に眼鏡店をオープン。デザイナーとしても2010年に「アイウェア・オブ・ザ・イヤー」のメンズ部門、2013年にグッドデザイン賞を受けた異色の経歴です。
岸さんは、どんな女子の心でも盗めてしまう必殺心理術があると言います。その秘儀は「犬猫トレーサー」というものです。どのようなテクニックなのでしょうか。
「アメリカの心理学者セオドア・ニューカム博士が、学生寮に入った学生を対象に部屋割りの際に行った実験です。博士は入寮に際し、宗教や人種問題などについて同じ考えを持たない学生が隣同士になる部屋割りをしました。そして、誰と誰が親しくなっていくかを調査。近い部屋の人同士が親しくなっていることが分かりました」(岸さん)
「半年後に同じ調査をしてみると、部屋の近さに関係なく、考え方の似ている者同士が親しくなっていたのです。これを心理学では『類似性の法則』と呼びます。人は、『自分に似た人に好意を抱きやすい』という心理メカニズムを持っています。この類似性の法則を使って女子と仲よくなる心理術こそが『犬猫トレーサー』です」(同)
狙っている相手に「犬か猫かどちらが好きなのか」聞いていくだけなのですが、こんなものが本当に役立つのでしょうか。岸さんは次のように続けます。
「女の子が答える方に『そうですよね、僕もそうです』と心からの共感を示しましょう。『僕とあなたは似ている』を柔らかに主張するわけです。そこから、さらに深掘りをします。例えば、相手が『犬』と答えたのなら、『大型犬と小型犬どちらが好きですか?』と質問するのです」(岸さん)
「『小型犬』と答えたら、『やっぱ犬は小型ですよね、僕もなんですよ』と共感しつつ、『じゃあ、毛が短いのと毛が長いの、どっちが好きですか?』と聞く。そして、同じく同調すればいいのです」(同)
心理術を応用しよう
「犬猫トレーサー」は相手の心に取り入る近道として、「僕もそうです!」を繰り返すことだったのです。これなら誰でも簡単にできそうな心理術です。
世の中には心理術の本が実にたくさん出版されています。しかし、「理論」や「実験報告」メインで、「いえ、それはそうなんでしょうけれど実際には使えないよね(あるいは、使いづらいよね)」と思わされるものが少なくありません。
心理学で有名なものに、アサーティブ、フレーミング、バーナム効果、コールドリーディングなどがあります。心理学は「人間心理を解き明かすもの」ですが、知っているだけでは役に立ちません。大事な場面で「使える」という実践的なレベルにまで高めておかないと、中途半端な知識で終わってしまうのです。
あなたがココロに秘めている黒き悩みにお答えしましょう。まずは社内にいる高根の花にアプローチしてみませんか?
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
■
2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)