未経験者のアドバイスを聞いてはいけない

黒坂岳央です。

筆者はアドバイスについての持論がある。それは「未経験者からのアドバイスには従うな」ということだ。特定の分野で優れた結果を出している優秀な人でも、未経験の分野については的はずれなことをいっていることは少なくないのだ。持論を展開したい。

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未経験者のアドバイスは的外れ

未経験者からのアドバイスに耳を貸してはいけない理由はシンプル、当たらないからだ。

これまでの人生で挑戦をする上で、未経験者からアドバイスを受けたものの中で当たったものは一つもなかった。具体的に取り上げたい。

サラリーマン時代に起業して辞めることを仲の良い同僚や友達に告げたところ、全力で制止された。「やめとけ、子供産まれたばかりでそれは自殺行為だ」と。週末起業ですでに売上は盤石にある状態で退職するので大丈夫だと伝えたが、「10年生き残る会社は10%以下で~」とか「自分の知ってる人で退職して成功者は見たことがない」と言われた。

だが今は脱サラして良かったと思っている。これは過去記事でも書いたが、独立を後悔するような人はほとんど存在しない。

結婚や子供を持つ時には独身のビジネスマンに、

「仕事が疎かになる」
「自由がなくなる」
「男性ホルモンが減ってリスクテイクできなくなる」

などと言われた。

しかし、結婚して子供ができたことで家族に仕事をする姿を見せたくて、それまで以上に仕事を頑張るようになれたし、自由がなくなるといっても子供が学校や園に入れば日中は一人で完全自由になるので束縛されている感覚はほとんどない。

一発奮起して英語の勉強を始めた時は「今時、英語くらいできる人はいくらでもいる。市場は英語ユーザーで飽和してる」と言われたが、英語を使う仕事は毎日しているし当時より世の中はますます英語ニーズが増大している。

無理に逆張りを狙う意図はまったくないのだが、どれだけ考えても「未経験者からのアドバイス」でとにかく当たったものを思いつかないのだ。その理由は「人間は知らないことを否定する生き物」だからである。

筆者も若い頃は「恋愛や結婚なんてお金が減るし、自由がなくなるからデメリットしかない。自分は一生結婚しない」と思っていたが、いざ恋愛をするとコロリと考えが変わってしまった。

未知のものを積極的に肯定できる人など、世の中にほとんどいないことを考えると、未経験者にアドバイスを受けても有益なものにはならないとわかる。

経験者のアドバイスも正しいとは限らない

世の中には経験しなくてもわかること、わからないことがある。確かに「失敗しやすいビジネス」なんかは事前にしっかり調べてあらかじめ回避した。だが、自分が経験しなければ絶対にわからないことも本当にたくさんある。

独立する、という話についていえば色んな人が色んな意見をいっている。すでに独立してビジネスをしている先輩経営者の言う事の中には当たっているものもあるが、そうでないものもある。

これまで先輩経営者から言われてきたのが「起業して社長になると一目置かれる」「時間の自由が効く」「経済的に自由度が高まる」といった話をよく聞いてきた。彼らにとってはこうしたことに価値を感じるのだ。

しかし、自分は全く違う。個人的に良かった点は「自分の得意な分野で好きなだけ働ける」「興味関心や強い分野で純粋に頭を使う喜びを味わえる」とか「自分の子供に仕事をする姿を見せ、話題を共有できる」といった部分が非常に大きいと感じている。

たとえば子供から「パパの◯◯の仕事がうまくいったら、みんなで記念に遊園地に行こう!」などと言われると、なんとしても仕事で結果を出さねばという気持ちになる。子供が自分の仕事の結果を見ている、というのはどんな自己啓発よりもやる気が出る。

しかし、こうした付加価値は人からアドバイスを受けられる類のものではない。つまり、自分が経験して始めて見える世界なのだ。

未経験者からのアドバイスは論外として、経験者からのアドバイスも含めてあまり頼りすぎるべきではないと思っている。人の価値観、感じ方はあまりにも多様であり、自分に当てはまらないことは多い。加えて、やってみないとわからないことは想像以上に多い。他人のアドバイスに耳を貸しすぎるとがんじがらめになって何も行動できなくなるリスクもあると思うのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。