ル・ガブリエル@ラ・レゼルヴ・パリ(パリ8区)

ラ・レゼルヴ・パリの「ル・ガブリエル」でランチ。

去年5月以来、つまり、3つ星になってから初めて(2023年5月訪問の様子)。

前回すでに、あらゆる面で顕著な進化を遂げていて、これはもう3つ星間違いないね、という感じだったので、今年のミシュランの評価は納得。

去年より、さらに細かなニュアンスに磨きがかかった、ジェローム・バンクテルの素晴らしい料理の数々。

ニンジンとアーティチョークは、完全にジェロームのスペシャリテになった。どちらも、食材の真価とジェロームの感性が素晴らしい。

10年前のオープン当初からある、味噌風味のサーモンの安定のおいしさに続き、旨み凝縮パリッと焼いたスズキに白インゲンとざるがいと海藻、とてもいい。

そして、去年食べて感動して鳥肌たち、これをもってジェロームの3つ星決定!と皆も絶賛する、イカのタリアッテッレ&イカ墨&クリスタルカヴィア&鴨のジュ。さらに完成度が高まった気がする。これ、ほんっと傑作。

仔豚&黒米は、ヴェトナム風のアジアンテイスト。豚のクオリティ含め私は好きだけど、日本から来た知人は、ちょっとアジア色が強すぎる、と。ジェローム、日本を含めたアジアの風味、好きなので、ね。

デセールは、ハシリのミラヴェル&ヴァンジョーヌ&アーモンド、名残のいちご&シュロー。プチフールまで、なかなかいい感じ。去年とシェフパティシエ、変わってるよね?

素晴らしい料理にふさわしいワインたち。

ミシェル・レヴィエ(オーナー)のシャンパーニュで乾杯後、ロテム&ムニール・サウマのシャトーヌフ・デュ・パープ”Pierredon”19。アンフォラで仕込んでいるので、19と思えない成熟感とほぼオレンジワインに近い美しい色。シャトーヌフならではの芳醇感とキレの良さが同居していて、体にするする入っていき、とっても好み。

初めましてのドメーヌかな。仲良しシェフソムリエのガエタンに聞くと、ブルゴーニュの実力派ネゴシアンがシャトーヌフに畑買って作っているそう。

赤も、シャンパーニュ同様”ハウスワイン”の、コス・デストゥルネル、89✨

ボルドーのアペラシオンで一番好きなのは、この地域の最果てサン=テステフ。ポイヤックの華やかさ、サン=ジュリアンの落ち着いたエレガンス、マルゴーの気高さとは違う、素朴というか寂寥感の中に凛とした芯を持つ土の力を感じるサン=テステフ。個人的なイメージは、ヒースに満ちた嵐が丘。

その中でも、威風堂々とした深く包容力あるおいしさを披露してくれる、スーパーセカンド(事実上第一級にふさわしい)と誉高いコス・デストゥルネルを、私は昔から愛してる。今日の89、状態もまろやかでこなれていて、うっとり。

珠玉の料理&珠玉のワイン、美しき空間とエレガントなサーヴィス。これだから、フランスのガストロノミーはやめられない。


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年9月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。