先週のS&P 500は地味に反発した。前回の記事では雑な買いが上値で取り残されているとしつつ、「5860は25SMAの力も借りて首の皮一枚ながらまだサポートとして生存しており、週が明けて先週の雰囲気が忘れ去られれば調整はここまでとなる。
一方安値を更新するようなら次は50SMAの5770が視野に入り、この水準までの調整は大統領選全戻しを意味する。6000 -6055は引続き上値が重いだろう。
もっとも年末高アノマリーと自社株買いブラックアウト明けは引続き効いているはずで、下値を叩くほどではないと思っている」としていたが、5860サポートはウクライナ戦争のエスカレーションリスクもゴルディロックス気味に消化し健在を誇った。
水曜引け後のNVDAの決算は事前には8%動くことが織り込まれており、従って当日の値動きが決算前対比で8%も動かなければオプション買いの利食いが優勢となり、8%を突き抜ければ追従する動きが優勢になるというのが定石となる。
織込む値幅も10%に届いていなければ出来高も盛り上がっておらず、オプション市場だけ見ると事前の期待はそこまで高くなかったようにも見えたが、それでも目線に届かないという評価となり時間外では一時売られた。もっとも8%ほどは下げなかったのもあり、寄付きまでにはプラス域に戻って来たが、今度はコールが利食えるようになるため現物市場がオープンすると反落した。
結局、決算が出た後の木曜は上下に振れて終わった。金曜は改めて売り圧力が強まり、総じてあまりリアクションのよくない決算だったと言える。
当然それはバリュエーションの高さを示唆するのだが、NVDAでさえこれほどまでにしけた反応なら、NVDAほども収益が伸びていない他の銘柄、つまり指数全体のバリュエーションを更にストレッチさせる材料はなくなるのではないかと思えた。もっとも現実的には金曜はNVDAだけ避けながら他のブチ上げそうなミーム株を探して回った。S&P 500のバリュエーションはかつてないほど高い。
慎重派として有名なMSのマイク・ウィルソンによる「大統領選の結果を受けたアニマルスピリッツの勃興」「バリュエーションは依然高いが経済成長続けば正当化される」という雑なブルコールが話題になった。投資家はメルトアップに賭けた。
主にラージテックと思われる個別銘柄のレバレッジETFも盛り上がった。
久々にGSとDBのシステマティック勢ポジショニング推定が揃った。GSは大統領選の通過から始まった買戻しが緩く続くことをメインシナリオに据える。
DBポジショニングは遥かにアグレッシブであり、システマティック勢も裁量勢との統合ポジショニングでも大統領選を通過してブチ上がった。前者はここ5年くらいの高値圏、8月に崩れる直前の水準まに近付いてきた。一週間のポジショニング変化としては、大統領選通過後の買戻しは恒例として、過去よりも急激な買戻しとなっている。
NAAIMは他の指標に反してあまり動きがなく思ったより過熱感が薄いが、GSのセンチメント・インジケーターは変な水準まで上がってきている。
インサイダーは長らく動きがない。
今年これまでのS&P 500のパフォーマンスは好調である。過去の11月までに20%以上上昇した年の12月のパフォーマンスは平均で+1%と大したことない。もっともシーズナリティは大統領選を通過して年末まではラリーが基本で、就任式前から停滞し始める。
テクニカル。週足は再び下ヒゲ陽線となった。日足は弱々しい3本の下ヒゲ陽線を経て金曜には上値を伸ばし、小さなアイランド・リバーサルの領域に再び突入した。大統領線とも言うべき5860より上での推移が続いた。引続き5860はサポートであり分水嶺となる。
今週は感謝祭前で閑散に売りなしになりやすいだろう。上値は年末まで引続き6055より上は重いか。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2024年11月25日の記事を転載させていただきました。