地球全体という経済圏において、投資対象の総額は、全ての資金供給額の総計であり、同時に、全ての資金調達額の総計であって、地球経済が成長している限り、必ず増加している、即ち、必ず利益を生んでいるはずである。
しかし、誰しも、地球上の全ての資金調達手段には投資し得ず、また、地球経済が多数の通貨で構成されているなかで、自分の基軸通貨に拘束されるから、地球上の全ての投資家が必ず利益を得るとは限らない。国際分散投資とは、この難問への挑戦である。
さて、宇宙人にならない限り、誰にも地球の全体は見えない。自分自身が全体の極小の一部にすぎないなかでは、その無にも等しい点から、全体が見えるはずはない。そこで、国際分散投資の第一歩は、地球全体のなかから一部の投資対象を選択し、自分なりの地球を複製して、定義することになる。問題の核心は、地球経済の複製方法である。
株式と債券のほか、不動産等の多種多様な実物資産、投資としての融資、プライベートエクイティなど、地球上の広範囲な対象を視野に入れて、そこから少数の対象を厳選するところに、投資の技術があるわけだが、例えば、航空機という実物資産の価値が地球上の人の移動の活性度を反映するように、地球経済の動向を内包する投資対象を上手に選択することが重要なのである。
さて、為替については、どう考えるべきか。米国に投資することと、米国のドルという通貨に投資することとは異なる。為替ヘッジを使って、米国に投資するために取得したドルを常に先日付で売却しておくことができるからである。
外国に投資することは、その国の通貨に投資することを内包しているとも考えられるが、地球経済における日本の地位が低下していき、外貨建ての投資の割合が大きくなるときは、基軸通貨が円なのだから、一定の為替ヘッジが必要になるわけである。
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森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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