1月20日の正午をもってバイデン大統領の任期は終わりましたが、退任直前に「予防的恩赦」という異例の措置が発表されました。
【速報】バイデン氏、米軍前高官らに「予防的恩赦」https://t.co/kvLX5SXJKx
— 47NEWS (@47news_official) January 20, 2025
恩赦が発表された面々はミリー前統合参謀本部議長、米国のコロナ対策を指揮したアンソニー・ファウチ博士、また議事堂襲撃事件を調査したリズ・チェイニー氏などトランプ氏の政敵の多くが含まれていました。
通常の場合、恩赦は国家による刑罰権の効力を消滅させるために発令されるもので、その対象となる人物は犯罪を犯していることが前提にあります。しかし、今回恩赦対象となった面々は不当にトランプ政権から「報復」される恐れがあると危惧していたバイデン政権は「予防的恩赦」によって将来的な刑事訴追の芽を摘みました。
バイデン大統領、ファウチ氏やミリー氏に予防的恩赦 トランプ氏の報復から守る狙いhttps://t.co/zRAHfeKH3g
コロナ対策の重要性を訴えてトランプ氏と対立したファウチ氏や、トランプ氏を「ファシスト」と呼んだとされる米軍のミリー前統合参謀本部議長らに「予防的恩赦」を与えると発表した。
— 産経ニュース (@Sankei_news) January 20, 2025
バイデン氏は「予防的恩赦」を発表した声明文の中で、「根拠のない政治的動機に基づく捜査」によって「標的とされた個人やその家族の生活、安全、経済的安定に大打撃を与え」、「最終的に冤罪が晴れるとしても、捜査や起訴されるという事実だけで、評判や財政に取り返しのつかないダメージを与えかねない」とし、自身の決定を正当化しました。
Our nation relies on dedicated, selfless public servants every day. They are the lifeblood of our democracy.
Yet alarmingly, public servants have been subjected to ongoing threats and intimidation for faithfully discharging their duties.
In certain cases, some have even been…
— President Biden (@POTUS) January 20, 2025
バイデン氏は声明文の中で、「恩赦の受諾は、何らかの犯罪に対する有罪の告白と誤解されるべきではない」としていました、従来の恩赦ではその対象となる人物が自分の罪を認める必要がありました。
米国最高裁も「恩赦の受諾」と「有罪の告白」が同等であるという判決を出しています。それゆえ、「予防的恩赦」は憲法との整合性が問われます。
Under Burdick v. United States acceptance of a pardon is admission of guilt or responsibility for the acts pardoned. I speak for President Nixon, not President Trump, but I might say that President Trump's behavior has been consistent throughout his public life. – RZ https://t.co/B7t09vFWdg
— Richard M. Nixon (@dick_nixon) June 23, 2022
バーディック対アメリカ合衆国の裁判では、恩赦の受諾は恩赦を受けた行為に対する有罪または責任の告白に等しい。私はニクソン大統領の立場で発言しており、トランプ大統領の立場で発言しているわけではないが、トランプ大統領の行動は公職生活を通じて一貫していると言えるだろう。 – RZ
バイデン氏が自分の息子を助けたるために出した恩赦も「予防的恩赦」に等しいものでした。
また、バイデン氏はハンター氏を恩赦する際、ハンター氏を捜査し、起訴した民主党関係者を暗に批判し、司法への信頼を損ねました。
バイデン大統領は息子ハンター氏に過去に例がないほど広範な恩赦を与えました。果たしてそれは「慈悲」なのでしょうか。そのうえ、バイデン政権はトランプ次期政権を見越して「予防的恩赦」も検討しているといいます。「法の支配」が一層損なわれるのではないでしょうか。https://t.co/XHw64OVoWj
— 西田進一郎 Shinichiro Nishida (@Nishida325) January 3, 2025
バイデン氏の恩赦の「乱用」とも取れる決定によって、大統領が中世の王のように権力を行使しても良いというお墨付きが与えられてしまう懸念があります。
バイデン氏はトランプ氏によって壊された規範や制度を修正するために大統領に当選しましたが、トランプ氏以上に破滅的な権力行使をしてしまったのでしょうか?