南阿蘇の水の生まれる里・白川水源を訪ねる

2024年暮れ、旅色さんの取材で熊本県南阿蘇地方を旅しました。

被災にも負けずそれぞれの道へ。2つの県をつなぐはずだった鉄道の今をたどる【宮崎・熊本】|旅色LIKES
愛読書は時刻表、旅色LIKESライターの鉄道旅担当・なおです。今回、わたしは宮崎県高千穂町と熊本県南阿蘇地方を旅しました。両県を繋ぐ計画もあった鉄道は、夢に終わり、存在せず。今回は一部レンタカーで移動します。あれ、鉄道記事じゃなかったっけ? と思っているあなた、安心してください。しっかり鉄道も登場しますよ! この鉄道を...

2つのローカル線を取材したのですが、その中のひとつ、南阿蘇鉄道の沿線は湧水がとても多いことで有名です。

それが証拠に南阿蘇鉄道には「南阿蘇水の生まれる里白水高原」なる駅があります。ちなみにこの駅はかつて日本一長い駅名として有名になった駅でもあります。

そしてこちらは同じ南阿蘇鉄道の「南阿蘇白川水源」駅。さっきの駅と混同してしまいそうですが、こちらも水が生まれる場所であることを謳った駅になっています。いかにこの沿線が湧水に恵まれた土地であるかということがわかります。

その中で今回訪ねたのは、後者の駅の近くにある「白川水源」。周囲には住宅も多くあるような静かな場所なのですが、この周辺だけ車が密集し、美しい水を一目見ようという観光客で賑わっていました。

白川は熊本市の中心部を流れる一級河川。白川水源はその源となる場所です。73万の人口を誇る熊本市民ののどを潤す水の根源がこの地にあります。2017年には「午後の紅茶」のCMの舞台にもなりました。

阿蘇には1500もの湧水池があるといいます。特に南阿蘇地方は中央火口丘群がある影響でカルデラの下に複雑な地下水脈を持ち、これが多くの場所で湧水が湧き出る理由となっています。

駐車場から300mほどでいよいよ水源に到着。美しい湧水池にたどりつきます。

12月の湧水は凛として冷たく、そしてとても澄んでいました。

水が青いのは透明度が高い証拠。青く澄んだ遊水地の底で砂が吹きあがっているのが見えます。これこそがまさに「水の生まれる場所」です。20年から30年ほど地下を流れていた水が毎分60トン、今ここで地表に現れ出てきています。まさに大地の神秘です。

小さな神社ですが、訪ねる人は後を絶ちません。

水源一帯は白川吉見神社という神社になっています。旧肥後国の広大な農地を潤してきた白川水源。それを崇めないわけがなく、細川綱利の命により造営されたと言われています。

どこにでもいるな、くまモン。

お土産店ではここで汲まれた水が販売されていました。イメージキャラクターはやはりくまモン。地下から湧いたばかりの澄んだ水の味はまた格別だと思います。

暫しの間水の美しさに見惚れ、心まで美しく清められました。

ここに限らず南阿蘇地方では、他にも多くの湧水を見ることができるそうです。夏になったらこの白川水源を始め、湧水群を見て回って涼を求めてみるのもいいのではないかと思いました。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年2月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。