現役世代の医療費負担削減に向けて「市販風邪薬の保険除外」は実現可能か?

日本維新の会の青柳仁士政調会長は7日、自民党の小野寺五典政調会長、公明党の岡本三成政調会長と国会内で会談しました。青柳氏は、医療費総額を削減するための改革案として、市販で購入できる風邪薬の保険適用を除外することなどを提案し、話題となりました。

診察を受けた後に市販薬と同様の成分を含む薬を処方され、それによって保険適用により安く購入できる仕組みが現役世代への社会保険料の負担を増大させています。


これに対し、小野寺氏は記者団に「重く受け止める」と述べ、両者は来週にも再び会談する予定です。

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湿布などのOTC類似薬の保険適用除外に対し、日本医師会は強く反対の姿勢を示しています。同会は、高コストであっても医師の診察を経るべきだと主張しており、その負担は現役世代に広く及ぶ可能性があります。

しかし、OTC薬と湿布の保険適用を除外するだけでは、年間4兆円の削減には届かず、削減額は約4000億円程度にとどまるとされています。

※OTCとは、英語の”Over The Counter”(カウンター越しの)の略であり、薬局などのカウンター越しに販売されることに由来しています。OTC薬は、医師の処方箋がなくても購入できる医薬品のことを指します。

それでも、これによって薬事行政の障壁を取り除くことができれば、さらに大規模な無駄の削減につながる可能性があります。

医療改革の大きな障害となっているのは、日本医師会とそれに同調する厚生労働省・高齢者・国会議員であるという指摘もあります。

日本医師会がOTC薬の保険適用除外に強く反対する際の主張は、「命を守る」というスローガンに基づいています。

しかし、OTC薬を医師の診察を通じて処方し、それをOTC薬よりも安く提供する仕組みは、持続不可能との見方も広がっています。

一方で、保険適用除外に賛成する意見の中には、市販の風邪薬には不要な成分が多く含まれているため、薬剤師の判断によって医療用医薬品を販売できるようにすべきとの声もあります。なお、零売(れいばい)とは、病院を受診せずに一部の医療用医薬品を購入できる制度を指します。

風邪は安静にして市販薬を服用すれば回復するケースが多いため、保険制度のもとで社会全体の負担とすることは適切ではないという意見もあります。

また、日本医師会は、国債発行によって財源を確保すれば医療費の赤字は問題にならないとの立場をとっているようです。

しかし、こうした問題の詳細について十分に理解していない人も依然として多いようです。

他人のお金で賄われる制度であるため、必要以上に薬を求めたり、不要な薬を受け取ってしまうケースも多く、結果として非効率な医療費の増加につながっています。

そもそも「風邪に効く薬」が本当に存在するのかについてわれわれは改めて考える必要があります。