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『ジャポニズム』再興
日本が元気だった1980年代、90年代の頃、日本は世界に向けてジャポニズム的文化の発祥地だった。平たく言えば元気だったのだ。高度成長期からオイルショックを経て、日本経済はもう一度元気を取り戻したのが70年代後半から80年代、90年代だった。
よく思い出して欲しいのだが、バブル期を良かった良かったという前に、私たちはバブル期の何が良かったのか?を再考してみてもいいんじゃないだろうか?
経済が活況を呈していたことで、適度なインフレと企業収益の増加は、終身雇用が当たり前の社会だったし、今とは違う売り手市場で、なんだかんだ言っても雇用が落ち込むことは無かった。確かに学校を卒業して定年まで働くことを目指して企業選びを行い、入社したら、馬車馬のように働いていたが、実はそればっかりでも無かった。
社会が元気か否かのバロメーターって、幾つかあると思うが、その中でも、メディアの働きって、やっぱり大きいと思う。70年代、80年代、90年代くらいまでテレビ全盛の時代だったが、テレビ番組が元気だったことに気づく人も多いんじゃないだろうか?
そして、ジャポニズム的な商品が世界を席巻してたと思わないか?
別にその時代を懐かしむとか、憧憬の思いで「昔は良かった」などと言うつもりは無い。そうじゃなくて、バブルが弾けてデフレ不況に入った途端、日本社会の中に何だか暗いおよそ豊かとは言えない時代の喪失感のような、或いは空虚な感覚が蔓延してしまってる気がする。
高度成長期から2000年くらいまでの日本は、確かに「ジャポニズム」と呼べる独自性が世界を席巻してた時期があった。いくつか具体例を挙げて整理してみる。
- 電化製品市場:ソニーやパナソニックがウォークマンやプラズマTVみたいな革新的な製品で世界を驚かせた。日本の「小さくて高性能」っていう発想は、生活スタイル自体を変えた。
- 自動車市場:トヨタやホンダの「省エネで信頼性高い車」がアメリカ市場を席巻。カイゼン(改善)みたいな日本独特の生産哲学が、グローバルスタンダードになった。
- ゲーム市場:任天堂やソニーのプレイステーションが、世界のエンタメを変えた。マリオやファイナルファンタジーは、ただのゲームじゃなくて「ストーリーテリングと技術の融合」っていう日本らしい文化を輸出した。
- 音楽・ポップカルチャー:J-POPやアニメがアジアで爆発的に広がったのもこの時期。たとえば、浜崎あゆみや宇多田ヒカルの音楽は、アジアの若者文化に影響を与えたし、アニメは今や世界中で「オタク文化」の基盤になってる。
ジャポニズムの特徴って、技術力と美的感覚、人間中心の発想が混ざったものだ。西洋の合理主義とは違う、「情感」や「使い手の視点」を大事にする姿勢が、世界に新鮮な衝撃を与えたんだと思う。
ではこんなオリジナリティ溢れ、世界を席巻できる日本「らしさ」の源泉って何だろう?
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以後、
・『ネオ・ジャポニズム』時代の到来
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。