夏の参議院選、最大のテーマが「物価高対策」になりそうです。報道では早稲田の1Kの部屋が月10万円、米も買えない学生、更にはテレビニュースでは「〇月に〇〇品目が値上げ」を繰り返し報じており、物価高の印象を煽っている感じがします。立憲は党内で割れていた案がついに「食料品の消費税を一定期間ゼロ公約」を決めました。その点からするとターゲットは「物価高対策」というより「財務省バッシング」になるかもしれません。野党が推すガソリンの暫定税率廃止も見えてきており、「少数与党の自民党の効果」が目に見えて出てきていることから野党の動きも軽やかで石破政権万歳!にみえます。
では今週のつぶやきをお送りいたします。
落ち着きを取り戻しつつある株式市場
私は今回の騒動の少し前に日経平均は3万円ぐらいまで下げるかもとし、バンジージャンプ相場とも申し上げました。その流れに沿って落ち着きを取り戻しつつあるようです。また金相場は行き過ぎだとも申し上げ、手持ちの金鉱山株4銘柄全量を売却しました。更に加藤財務大臣とベッセント財務長官の会談で為替に関しては「トランプ氏が朝令暮改の方針を打ち出すのでアメリカとしてはドル安よりいったんドルの安定化を望むのではないか」とも申し上げました。これもほぼその通りになっています。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより
私は預言師や予想屋ではありません。私が心がけているのは市場と邪念を持たず、対等に向かいながら日々の天気ではなく、トレンドを見るようにすること、これだけです。トランプ氏が打ち出した数々の無謀なまでの方針がそのまま「新アメリカ秩序」を形成できるほどアメリカは腰抜けでも従順でもないのです。イーロンマスク氏がDOGEの仕事から少し実業の方にシフトすると今週コメントしていましたが、これもトランプ就任100日をまもなく迎えるにあたり熱量が下がってきている証とみています。何でも初めは盛り上がるのです。ですが向かい風が強ければ強いほど熱量がそれを上回り続けない限り継続することはできないのです。
バンジージャンプ相場というのは初めにどんと落ちる、だけど徐々にその反動の動きは狭まり、最終的にはあるところに収斂するという意味です。また初めの高さにも戻らないと申し上げました。トランプ氏の打ち出す政策はあまりにも古臭く、現代社会や経済の流れに沿っていません。今更「80’sよ、もう一度!」では話にならず、その点ではトランプ氏のMake America Great Again(MAGA計画)は成功しないとみています。ケンカをするのではなく、アメリカにないものを持つ相手を利用してレバレッジをかける、それが本当にアメリカ経済が潤う方策のはずです。
プーチン氏は何を考えているのか?
私はプーチン氏の生い立ちから今日まではざっと見てきました。それを踏まえ、ウクライナ戦争においていまだに明白なポジションを見せないのは何故なのか考えてみました。トランプ氏は「交渉は非常にうまくいっている。プーチン氏は交渉条件を飲むと思う。ただゼレンスキーはわからない」とゼレンスキー氏を呼び捨てにし、プーチン氏に寄り添う姿勢を見せています。今、ウィットコフ特使が4度目のプーチン氏との会談に臨んでいます。確かに表面上はイースターの30時間停戦案など若干の譲歩を見せていますが、本心でしょうか?
プーチン氏はあまのじゃく。これが私の見る彼の人物像です。彼が青春時代からずっとひねくれていたのは周りの同級生と比べカラダが小さいことに対するコンプレックスを持ち「いつか見返してやる」という反逆精神が今でもずっと残っている点で彼の人格形成の骨格がぶれていないとも言えます。よって誰かに迎合することはしません。安倍氏と北方領土問題で30回以上の会談をし、わざわざ山口まで招待までしたのに結果は真逆に動きました。プーチン氏のマインドは誰にもコントロールできないのです。
ではプーチン氏の現在の最大の関心は何でしょうか?私にはゼレンスキー氏が憎くて憎くてしょうがないのだと思います。そしてウクライナへの支援を諸外国に訴える姿勢が大嫌い、そしてリングから立ち去らないので徹底的に苛めている、そう見えます。うがった見方かもしれませんが、プーチン氏はわざと時間をかけて真綿で首を絞めるような戦争戦略に変えたのではないかとすら疑いたくなります。なぜなら現在の戦況はプーチン氏にとって心地よさげに見えるのです。アメリカがすり寄り、欧州が交渉の姿勢を見せる、これはプーチン氏にとって黒海のリゾートでヨットを浮かべるぐらいの感覚にあるとみています。ならばウィットコフ氏の努力は安倍氏と同じ末路を辿ることになるかもしれません。
萌芽するインド
25年前、私がバンクーバーで比較価格で安いものを買うなら韓国製でした。15年前、そのバトンは中国に渡りました。そして今、インドです。今週、新しい事務所全室にブラインドを発注するのに相見積もりを取ったところ、ローカルの会社は80万円、インド系カナダ人の経営する会社は29万円でした。しかも自社製なので納期が数日と異様に早いのです。かつて中国人は寝る間もなく働くと言われましたが、インド人もやるなという感じです。工事現場に行けばいたるところにインド系の作業員とインド系の会社があふれています。
アップルがiPhoneの製造を中国からインドに移管すると発表しました。インドでの受託は数量にして現行の年4000万台から8000万台にアップです。直接的引き金は米中の政治的混沌を受けての話かもしれませんが、私はもっとグローバルな動き、「街は西に動く」がここでも展開され、いよいよインドが生産拠点としての足場を作りつつあると感じています。つまり、世界の工場として君臨した中国はそのバトンをインドに渡す一方、同国が経済発展をするにおいて日韓と共にグローバル競争に参入してくることが予見できます。
インドにおける製造業の萌芽に基づき、過去の歴史的事実から推測すると今から5年後の2030年にはインド人が世界でお金を落とす時代になるでしょう。かつては日本人が、そして10年前には中国人が爆買いしたように、です。インド人の一部はコーカソイドと分類され、欧州人と同じ系統とされます。よって彼らはアジアではなく、欧州に向かうのがナチュラルで日本で爆買いをすることはないとは思います。一方、インド国内市場は今後、更なる爆発的発展が期待できるわけでビジネスチャンスはあるのだと思います。ただし、日本人がちょいと稼ごうなんて言う軽い気持ちではあの国の人たちは攻略できないでしょう。なかなかタフです。
後記
私のようにカナダに住みながら日本との関係も同じように維持するとなるとどうしても時差を乗り越えて仕事をすることになります。そして増えてきたのが日本からの会議参加要請です。出席できるものは出ていますが、当地時間の午前3時から午前5時といった時間帯の会議は正直きつく、会議が終わると夜が明けていて鳥のさえずりが聞こえます。「5時から6時まで1時間寝てそのあと会社に行く」とか夜10時に「2時間仮眠して夜中12時開始の会議に出る」といった感じなので私の一日の睡眠時間7時間は分断されたトータルの状態です。で、眠くないのか、と言われたら結構普通で、週4回の運動も欠かさないし、本も読めるものです。24時間の使い方も多様化してきました。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月26日の記事より転載させていただきました。






