フランス陸軍の新しい歩兵大隊

フランス陸軍は下車歩兵の能力を向上した新しいタイプの歩兵大隊を導入しています。

French army restructures its infantry battalions

French army restructures its infantry battalions
The French Army has developed a new infantry battalion model in order to enhance its dismounted capability, introducing not only new equipment and technology bu...

これはウクライナの戦訓を取り入れて、大隊全体のあらゆるレベルで戦闘支援(CS)能力を強化することが主な目的とのことで、現在進められているスコーピオン計画とは別系統の話になるのですが、関係はしています。

現在フランス陸軍では3種の歩兵大隊があります。VBCIを有した重装備の大隊、グリフォンを装備した中装備の大隊、そしてVBMR-ライトを装備した軽歩兵である空挺や、山岳歩兵などです。

各大隊は約1000名で、4個の戦闘中隊、1個支援中隊、1個司令中隊からなっています。車両は150両でうち60両が戦闘車両で、90両が支援車両です。

中隊は5個小隊からなっており、1個指揮中隊、3個戦闘中隊、1個支援中隊です。再編のキモは中隊レベルで対戦車戦闘能力、密度を強化することです。

3つの小隊すべての対戦車兵器として軽対戦車ロケットとAT-4を携行します。指揮小隊はParrot Anafi USA、テレダイン FLIR Systems、 Black Hornet 3を装備した無人機チームで強化されます。

支援小隊は現在81mm迫撃砲2基の迫撃砲分隊、MBDAのアルカロン MP中距離ミサイルランチャー2基を装備した対戦車分隊、およびUAV分隊で構成されています。これらの無人機は偵察型と徘徊自爆UAVを運用するが、KNDSのダモクレスシステム、で今年から配備されるとのこと。

支援中隊は最も大きな変革がなされ、既存の狙撃兵、コマンドー、対戦車小隊に加えて、重迫撃砲とインテリジェンス、電子戦小隊が追加されました。これまで砲兵に属していた120ミリ迫撃砲が歩兵部隊に配属されることになっています。

これだけでも陸自の普通科と大分異なると思いますが、更にスコーピオン計画で車両や、ヘリ、衛星などとネットワークでつながっています。最新型のAMVにすらコータムしか搭載していない陸自部隊、貧弱な装備しかもっていない下車歩兵部隊で戦えるのでしょうか。120ミリ迫撃砲を砲兵から歩兵に移したのはウクライナでの戦訓から歩兵部隊に高い火力が必要だからと判断されたからでしょう。そこは陸続きの陸軍国故でしょう。

陸自の場合は逆に普通科から特科に移行されましたが、これはこれで正しい判断だと思います。装備も悪く、人員も少ない普通科連隊(大隊規模)で120ミリ迫撃砲を運用する人的、兵站の余裕はありません。特科に集中したほうが合理的でしょう。


防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。