サイゼリヤは閉店よりも「プレミアム化」で業容拡大を

自宅から徒歩15分ぼどにあるサイゼリヤに出かけました。もっと近くにもう一店舗あったのですが、繁盛していたにも関わらず突然閉店してしまいました。

今回初めて入ったお店もたくさんのお客さんで賑わっていました。広いお店ですが、スタッフの数は最小限です。お水と紙おしぼりだけ運んできてくれて、注文は携帯から行います。接客という概念はなく極めて機械的な対応ですが、価格帯を考えれば違和感はありません。

メニュを見ると相変わらず信じられない価格のお酒やお料理が並んでいます。

グラスワインは赤も白も税込100円。おつまみやサラダは税込200〜300円。ピザは税込400円。ボトルワインはマグナム(1500ml)で1,000円、1番高いワインでも2,000円台でした。

驚異的な低価格ですが、お料理もワインも一定以上のクオリティで「価値>価格」を強く感じる内容でした。

2名で2000円台のボトルワインを注文して、お料理もお腹いっぱい食べてお会計は5,000円ほど。居酒屋で飲むよりも安いくらいです。

これだけのクオリティをこれだけの低価格で安定供給できるのは企業として素晴らしいと思いますが、最近は人件費や原材料費のコストが上昇しており利益率を圧迫していると思われます。

店舗の家賃も上昇しています。もし東京の中心部で閉店しているお店がコストを価格に転嫁できないことが理由だとしたらとても勿体ないことです。

もし採算が合わないから撤退するのであれば、例えば「サイゼリヤ・プレミアム」のような価格を高めに設定した新業態を作ってはどうかと思います。

店の内装もグレードアップして、テーブルを広くし、ワインももう少し高価格帯のバリエーションを増やす。都心部には値段が1.5倍くらいになってもそれに見合う価値を感じる顧客層はたくさんいると思います。

今はコストコンシャスな若者たちのたまり場になっているようですが、価格帯を高めることで今までサイゼリヤを愛用してきたシニア層の顧客も開拓できると思います。

価格とは安ければ良いわけではなく、提供する価値との比較で考えるべきです。サイゼリヤは低価格を目指すのではなく、価値を大きく上回る価格という視点で飲食ビジネスをして欲しいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年5月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。