ワンコの「長生きリスク」回避に必要なのはやっぱり経済力

医療技術の進歩と共に平均寿命が伸びるにつれて、老後の生活期間が長くなり経済的な負担が大きくなるいわゆる「長生きリスク」が深刻な問題になっています。

これまでは現役時代に貯めたお金をリタイヤしてから取り崩して生活するファイナンシャルプランが一般的でしたが、長生きリスクによってこの方法は破綻する可能性が高まっています。

寿命が伸びるだけではなく、インフレも長生きリスクを高めます。

生活コストが上昇して当初想定していた生活費では同じ生活水準が維持できなくなれば、貯めていたお金では足りなくなってしまうのです。

高齢化とインフレが人間の長生きリスクを高めていくわけですが、これは人間に限りません。

ワンコにも人間同様の長生きリスクがあるのです。

室内で犬を飼う人が増え、餌の栄養が良くなったこともあって、ワンコも以前に比べ長生きするようになっているそうです。

人間と同様に長生きすればそれだけコストがかかります。

毎日の餌代やトイレシートや消臭剤といった消耗品は意外に馬鹿になりません。

さらに予防接種や定期検診にも費用がかかり、ペット保険も毎月の支払いがあります。

病気になれば獣医に連れて行かなければなりません。保険に入っていなければ全額自己負担になります。

また、旅行や外出で施設に預けるとなると、ペットホテルに預ける必要がありますが、小型犬でも1泊で7,000円くらいの費用になります。

そして、人間同様長生きすればするほど病気になるリスクが高まります。

人間に老人ホームがあるのと同じように、ペットにも動物専用の老人ホームが当たり前になる時代がもうすぐやってきます。

施設に入れることができなければ、年老いた人間が年老いたペットのお世話をするペット版「老老介護」の世界になってしまうケースも出てきます。

さらに最悪の場合、飼い主よりも長生きしてしまうリスクも存在します。その場合誰が面倒を見てくれるのでしょうか?

ペットには少しでも長生きしてほしいと思うのは飼い主の心情ですが、そのためにはしっかりとした準備が必要です。

人間もペットも長生きリスクを回避するために必要なのは経済的基盤というのは共通です。

「人生は金じゃない」と言う人がいますが、お金がないと解決できない問題がたくさんあるのもまた現実です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年6月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。