
こんにちは、自由主義研究所の藤丸です。
今回は、「初心者のための経済学シリーズ」の第4回目で、「利益とは何か?」です。
ちなみにシリーズの前回の第3回は「お金とは何か?」は以下です。
シリーズものですが、完全に独立しているので今回(第4回目)からでもお読みいただけます。

利益とは何でしょうか?
「利益は、搾取や貪欲のことだ」と非難されるがよくあります。

搾取といえば、この人(カール・マルクス)を思い出す・・・
テレビ番組、本、映画などで「人よりも、利益を優先する」という「悪役」が登場する作品は、非常にたくさんあります。
しかし実際には、利益は「人間同士の協力を促すための強力なメカニズム」であり、
「地球の資源を最大限に活用して人類に役立てる」という役割を果たしています。
なぜでしょうか?
利益は、「良い決断をしたことへの報酬」だと考えてみてください。
利益は、必ずしも金銭的なものだけではありません。
つまり、利益は「3 ドルで製造した商品を 5 ドルで販売する」ということだけではないのです。
数字で測定できないものもあります。
慈善団体にボランティアとして参加することは、自分が情熱を注ぐ活動に役立つのであれば、活動した本人にとって利益となるのです。
利益のメリットは明らかです。
私たちは、自分の行動に失望するよりも、その行動から利益を得たいのです。
では、個人レベルを超えた「利益のメリット」について考えてみましょう。
世界は複雑で、異なる意見や関心を持つ数十億の人々がいます。
未来は決して予測できません。
さらに、多くの資源には多様な用途があります。
たとえば、鉄は、冷蔵庫から自動車、医療機器まで、あらゆるものを作る材料として使用できます。
このような複雑なネットワークの中で、一人の人間が「何を作り、どのように生産するか」を決めることはできません。
一人の人間が、他のすべての人のニーズや欲求を満たす方法を思いつくことは不可能なのです。
そして、幸いなことに、誰もそんなことをする必要はありません!
一人の人間が世界のすべての資源の使い方を考えるのではなく、「財産権」によって、個人がこれらの資源の所有を可能にすればよいのです。
そうすれば、個人は市場で自分の資源を販売し、他の人はそれらを購入して、他の資源と組み合わせて新しい製品を製造することができます。
自分の資金を投じて資源を購入し、製品を製造し販売するリスクを負う個人は、「起業家」と呼ばれます。
この過程で、起業家は機械や建物などの資本財だけでなく、多様な技術を持つ労働者にも投資します。
生産のこれらのすべての要素にはコストがかかります。
起業家は、最終製品を製造コストよりも高い価格で売れることを期待しています。その差額が、起業家が享受する利益です。
しかし、利益を得るのは起業家だけではありません。
消費者は、新しい製品を手に入れられるため、利益を得ます。
労働者は、お金を稼ぐことができるため、利益を得ます。

起業家も消費者も労働者も、各々が利益を得ている!
したがって、成功した起業家は利益を上げる一方で、他の人々を助けているのです。
ここで、同じくらい重要なのは、実は「損失」です。
先ほど述べたように、製品の生産に用いられる多くの部品は、様々な用途があります。
これは自然資源、建物、労働者、機械にも当てはまります。
これらの資源がある製品に用いられても利益が出ない場合、消費者は、その製品に「購入するほどの価値を見出せていない」ことを意味します。
つまり、「利益がでていない=消費者が欲しいと思っていないサイン」ということですね。
損失を被った起業家は、その資源をより有効に活用できる他の起業家に売却することができます。
工場は、別の会社に売却されます。従業員は、新しい仕事に就きます。
これによって、「もっと利益を出せる(消費者が欲しい物を作り出せる)企業」に、「限られた資源(工場設備や労働力)」が移ることになり、結果として、消費者のためになる商品がたくさん作られます。
つまり、社会がより豊かになるのです。
このプロセスは、世界中で日々さまざまな形で繰り返されています。
さらに素晴らしいことに、このプロセスはあらゆる変化に適応します。
例えば、人々の好みが変わるかもしれません。
甘いキャンディが人気でなくなり、塩味のチップスが好まれるようになるかもしれません。
キャンディ工場は閉鎖されるかもしれませんが、新しいチップス会社が誕生するでしょう。
個人が自分のお金の使い方を選択できるようになると、起業家がどこに投資し、何を生産するかに影響を与えることになります。
しかし、残念ながら、政府はこの利益と損失のプロセスに介入します。
例えば、政治家は税金や規制によって企業や産業にコストを課し、その事業の利益を減少させます。
これは起業家にとって悪いことだし、従業員にとっても悪いことだし、消費者が欲しい製品を手に入れられないという点で消費者にとっても悪いことです。
また、政府は利益を出していない産業を救済することもあります。
政治家は、「雇用の保護」を理由に救済措置を講じますが、その過程で、「利益を生む雇用」を破壊していることに気づいていないのです。
利益を出していない産業を救済することは、労働力を含む限られた資源が、人々が「購入する価値がない」と思う製品に使い続けられることになります。
日本の「ゾンビ企業」は、まさにこれですね。
地球上の資源は、無限にはありません。
私たちはその限られた資源を、できるだけ賢く、効率的に使用すべきです。
利益と損失に駆り立てられる起業家が活躍する市場経済は、まさにその目的を達成する最良の手段なのです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
以下の2つの記事は「ゾンビ企業」の問題について触れており、今回の記事と関連がありますので、もしよろしければ御覧ください。


また、「資源は無限ではない」という点については、以下の記事もご参照ください。

編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2025年6月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。






