原子力発電の運転延長を可能にする新制度が導入されました。日経新聞はこれを「安定供給と脱炭素の両立」と評価しています。これまで同紙は、再エネ偏重の立場から原発に対しては一貫して冷淡で、建て替えや新設には否定的な論調を繰り返してきましたが、ここのところ軌道修正が目立ってきています。
[社説]AI時代に原発投資を促す方策が急務だhttps://t.co/Na2XHt95h8
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) June 11, 2025
生成AI(人工知能)の普及などで今後の電力需要は増加が見込まれる。運転延長は安定供給と温暖化ガスの排出削減を両立する現実的な対応だが、一時しのぎでしかない。原発を将来も活用していくため、政府は電力業界に新規投資を促す方策の具体化が急務だ。(日経新聞社説より)
現実的に、再エネだけでは電力の安定供給も脱炭素も実現できないことが、国内外で明らかになりつつあります。欧州では電力価格の高騰、ドイツでは石炭回帰、日本でも太陽光の出力制御が頻発し、送電網への負荷も限界に近づいています。
(まとめ)
再エネ大国であるデンマークでも近年原発支持が高まっています。また、スペインの大停電は再エネの増加に対する懸念にもつながり、系統安定のために原発が必要という考えにつながったように感じます。なお、国の規模、求められる役割を考えると非軽水系SMRが適切かもしれましれません。— 分電でんこFC(電力・エネルギー業界応援) (@denkochan_plc) May 16, 2025
日経がこうした事実を十分に伝えることなく、「再エネこそ未来」と煽ってきた責任は軽くありません。
蓄電のない再エネ電源は電力の需要があるときに供給を保証しないので、人間の意思で発電可能な原子力と火力と比較してはいけません。WとWhの違いを認識して、Whでの比較だとしても、読者がミスリードします。
日経よ、頭大丈夫か?「日本の農地に原発2400基分の太陽光発電」 https://t.co/29IpkqWG7t
— ノギタ教授 (@Prof_Nogita) December 27, 2023
蓄電やDRを解決策としているのがいかにも日経らしいです。根底にあるのはkWとkWhの違いを理解していない、エネルギーに関する基本的な知識の無さだと思います。
— 分電でんこFC(電力・エネルギー業界応援) (@denkochan_plc) July 27, 2024
今回の原発容認記事は、脱炭素理想論の挫折をようやく公に認め始めた証左と言えます。とはいえ、それを「現実的対応」と言い換えるだけで過去の誤りを曖昧にする姿勢には、反省の色が見えません。
石炭廃止は国際公約でも何でもない。
日経も、“脱◯◯は世界の流れ”などと、なぜそんな大嘘を吐き続ける❓❓❓https://t.co/ULyJ4urxtp
脱原発や原発推進派、再エネ急進派など日本のエネルギーは極端な議論に陥りがち。電源が不足すれば安定供給が崩れ停電増。国際公約となった石炭廃止はリスク… pic.twitter.com/JKlAbd14JF— 石川和男(政策アナリスト) (@kazuo_ishikawa) November 14, 2021
日本での“原発への不信感”の殆どは、日経など大手マスコミの偏向報道に因る。
粗探しだけすればこんな記事になるという話。https://t.co/ifEQGoZnkf
脱炭素が追い風となり原発を活用する動き。日本は既存原発延命模索。だが大事故を経験した国民の原発への不信感は根強く、原発回帰へ進むか不透明… pic.twitter.com/fS5KQXJjEw— 石川和男(政策アナリスト) (@kazuo_ishikawa) November 15, 2021
原発を「延命」させるでけはなく、将来を見据えた新設・建て替えこそが本来の議論であるべきです。
他方、日経の論調は常識的になってきた。AIで世界の電力消費が2026年に2倍。2050年には37%増になるという予想はたぶん過小評価だろう。
これを電力品質も供給安定性も劣る再エネでまかなうことはありえない。原発の新設を考えるべきだ。 pic.twitter.com/gxYeIYlrbm— 池田信夫 (@ikedanob) May 15, 2024
今必要なのは、理想に酔った再エネ幻想から抜け出し、国民生活と経済を守る現実的なエネルギー政策を正面から議論することです。その第一歩として、まずはメディア自身が過去の誤りを直視する誠実さが求められています。
この日経記事は信じ難いほどの大誤認。
再エネは主力電源になってないし、なるわけねーだろ。
日経、大丈夫かょ…https://t.co/gMxPs6aNaU
送電網計画、東電など撤退示唆 再エネ普及に壁
偏在する再エネが主力電源になるなか、地域間の電力融通は発電量が変動する再エネの大量導入に欠かせない… pic.twitter.com/PAT32WcBlw— 石川和男(政策アナリスト) (@kazuo_ishikawa) January 16, 2025
政府に国家戦略がなかったのは確かだが、それを振り回してきたのが朝日や日経などの無責任なマスコミだ。3・11のあと朝日は「原発ゼロ」キャンペーンを張り、日経は今度「カーボンゼロ」キャンペーンを張る。その結果は、30年後に日本が貧困のどん底に突き当たってわかるだろう。
— 池田信夫 (@ikedanob) April 10, 2021
【新着記事】アゴラ編集部:再エネ激推しの日経、太陽光パネル大量廃棄を懸念というマッチポンプ https://t.co/C7DRFstmf0 pic.twitter.com/2z1S86CbDz
— アゴラ (@agora_japan) October 6, 2022
これから顕在化してくるツケを払うのは将来の日本国民です。
極めて深刻な問題です。電力自由化、再エネ普及の後ろで、電力供給の基礎体力である火力や原発がないがしろにされてきました。怖いのは、その影響は10年20年後に深刻化することです。
50年の供給力、最大8千万キロワット超不足/広域機関概算 –電気新聞ウェブサイト https://t.co/Wr0RkI4h2b
— 分電でんこFC(電力・エネルギー業界応援) (@denkochan_plc) May 22, 2025
電力関係者はこの結びをどんな気持ちで読んでいるのでしょうか。
GX電源法は原発を活用した安定供給や脱炭素実現を「国の責務」と位置づけた。政府は固定費の回収保証に加え、インフレなどのコスト上昇分も一定程度まで支援する検討を進める。投資の背中を押しつつ、使用済み核燃料の最終処分や福島第1原発の廃炉などの課題でも前面に立つべきだ。
国に支援を求めている電力会社は、安全・安心を最優先しつつ、低廉かつ潤沢な電力の供給に全力を尽くすのが当然である。(日経新聞社説より)

高浜原発 関西電力HPより






