黒坂岳央です。
人生をより豊かに、より良くしたいと願う時、その方法は2つに大別できる。「頑張る」か「耐える(我慢する)」である。たとえば、貯金を増やすなら
頑張る…副業や残業をする
耐える…節約する
このように同じ目的を達成するのでも、行動の違いになって現れる。そして人によって「適正」は真逆ほど違ってくる。頑張るのが得意な人もいれば、その逆に我慢することが得意な人もいる。
考察したい。

Anton Vierietin/iStock
耐える派は「長期投資家とサラリーマン」
「耐える」に向いているのは、長期投資家(インデックスなど)やサラリーマンである。
基本的にサラリーマンは減点方式である事が多い。また、仕事の裁量や権限、出世や転職については外的要因に強く影響される。そのため、リスクを取ってバンバン攻めるより、まずはミスなく、チームにとってリスク因子でない存在を目指し、そこから少しずつスキルや経験を蓄積してキャリア形成をする道が王道となる。
また、頻繁に株取引をするトレーダーでなく、長期インデックス投資や不動産投資家についても「耐える」局面が多い。相場は自分の力では動かしようがなく、好機が来るまでじっと耐え忍ぶ、もしくはJust Keep Buyingの精神で「タイミングよりタイム」で相場にい続けて変動の痛みに耐える。
著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は「Fat Pitch」理論を提唱し、好機が来るまで動かない重要性を説いている。難しい相場は下手に手を出してポジポジ病になるほど損失が拡大するので、「余計なことをしない勇気」が求めらる。インデックス株の長期投資家は「相場の奴隷」になりきることで、リスクを抑えつつ長期的な利益を得るのだ。
頑張る派は「経営者や起業家」
一方、起業家は「頑張る」ことで人生を変える。
独立をするとすべてを自分で開拓する気概が求められる。記事や動画発信も、1つより2つ、2つより3つという具合に行動力全開で量産する。ITサービスやアプリもあたりを引くまで量産して、ヒット作を横展開するなど、とにかく手数と行動力で切り開いていく。
実際、市場が冷え込む中でも「攻めのピボット」で成功を掴んだ企業は数多く存在する。自分自身もマクロ環境を無視して手数と行動力で仕事がなんとかなったという感覚がある。イメージ、当たりくじを求めてガチャを回し続ける感覚だ。
「頑張れば人生が変わる」と主張する経営者やフリーランスは、この能動性から来る成功体験でそういっているのだ。
「頑張り方」の適正が重要
「耐える」と「頑張る」は、時間軸とアプローチが正反対であるため、適性が分かれる。
たとえば筆者のよく知る経営者たちの中には、ビジネスではかなりの成功をおさめたのに、株式投資の短期トレードなどで損失を出し続けてしまう人がいる。
彼らは「人生を好転させるには行動力こそが重要」と考え、ビジネスで行動力MAXで頑張るやり方をトレードにも持ち込んでしまう。買った後は長期ガチホしておけば勝てたのに、難しい相場でガチャガチャと短期で売り買いをして余計に損失を拡大させてしまうのだ。
個人的な感覚として、非常に能動的で行動力のある経営者やフリーランスは「耐える」という頑張り方が不得手な人が多いという印象がある。「苦しいことを我慢するなら、もっと苦しくても頑張って切り開く頑張り方の方が気持ちが楽だし合理的」という思考を持っているのだろう。
その逆に耐えるのが得意な人は節約、食事制限は得意だが、副業や起業には手を出さない。「必死に努力するより、苦痛に耐える方がいい」と考える事が多いのだろう。おそらく、こうした気質の人達は独立しない方が良い。独立するとじっと動かず、耐え忍んでも好転することはないからだ。
「頑張るか?耐えるか?どちらが正しいか」という観点ではなく、どちらが自分に向いているかを見極めるのが良いだろう。
◇
筆者は完全に「頑張る」方に適正があるタイプで、苦しみに耐えるのは苦手である。あまり散財するタイプでもないし、物欲もないが昔からなにか欲しいものがあれば、節約するより仕事量を増やした方が気持ちが楽という感覚を持っていた。
理想は「両取り」だろう。たとえば節約して仕事を増やせばすぐ貯金できるし、運動も食事制限もできればダイエットは成功する。最も、どちらかを徹底して成功裏に運ぶこと自体、簡単ではないのだが。
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