出口里佐です。
6月のヨーロッパは、空気の澄んだ、緑が美しい季節。日差しは強くても、木陰に入ればひんやりと心地よい。そんなウィーンの美味しいものをご紹介します。

6月のウィーン、ベートーヴェン広場
ウィーン1日目:シュニッツェルとザッハトルテの街で
パリからウィーン空港に降り立ったのは午後1時前。市内中心部まではCAT(City Airport Train)を利用し、16分でLandstraße駅に到着。2日間フリーパス付きのチケット(29€)を購入すれば、市内のトラムや地下鉄が乗り放題。旅の自由度がぐっと広がります。
ホテルに荷物を預け、すぐさま向かったのは、ウィーンらしい伝統料理が楽しめる「ミューラー・バイスル(Müllerbeisl)」。オペラ座からほど近く、通し営業なので、時差ボケ旅人にもありがたい一軒です。

ミュラーバイセル。シュニッツェルが美味しいお店。
母と以前来た時は、数日間の滞在中何度も食べに行ったほどのお気に入り。
看板料理のウィナー・シュニッツェルは、仔牛肉を薄く叩き、軽やかに揚げた逸品。衣の香ばしさと肉の柔らかさ、レモンを絞っていただけば、その爽やかさも相まって、思わず顔がほころびます。ビーフコンソメスープには、薄いパンケーキの細切りが浮かび、じんわりと体を温めてくれました。

揚げたてシュニッツェル!!

細切りパンケーキ入り、コンソメスープ。
シュニッツェルのお店にはほとんどあるので必ず注文。
スープは旅のつかれを癒しますね。
ランチの後は、別腹でウィーンのケーキを。向かったのはアルベルティーナ美術館内の「Demel」。この日は定番ザッハトルテではなく、アーモンド入りバタークリームを何層にも重ねた濃厚なケーキを選びました。ほのかに洋酒が香り、しかし舌にやさしい。ひと口ごとに、職人技の粋を感じる逸品でした。

ウィーン国立歌劇場の隣、アルベルティーナ美術館のカフェ、デメルで。

デメルのアーモンドのケーキ。
粒粒のアーモンド、洋酒の香りの濃厚なバタークリーム、スポンジ生地が幾層にも。
ザッハトルテ以外のウィーン菓子も美味しいのがいっぱい。
夜は国立歌劇場で、ワーグナー《ワルキューレ》。ジークムント役のアンドレアス・シャーガーが、終演後に国家から「Kammersänger(宮廷歌手)」の称号を授与される場面に立ち会えたのは、シャーガーファン冥利に尽きる経験でした。

ウィーン国立歌劇場

上演後、宮廷歌手の称号を授与されたヘルデンテノール、アンドレアス・シャーガー。
オペラの感動の余韻を抱きつつ、向かったのは国立歌劇場裏のソーセージスタンド。デューラーの「野うさぎ」のオブジェが目印の名店で、熱々のソーセージにケチャップとエストラゴン入りマスタードを添えて。ライ麦パンとの相性は抜群。小雨のなか、傘を差しながらも頬張る一口が、旅の記憶に深く刻まれました。

デューラーのウサギのオブジェが屋根の上にあるのが目印のソーセージ屋台。
オペラの幕間に来れるくらい、国立歌劇場に隣接。

ソーセージは温めてあって注文を受けてからお兄さんがリズムにのってカット。
エストラゴン入りのマスタードとケチャップ、ライ麦パンを追加。
これで千円ちょっとくらいでした。
ウィーン2日目:朝はクラシックとともに、夜はジェラートで締めくくり
朝食は、宿泊した、こぢんまりとしたブティックホテルにて。内装のディテールからも、ウィーンらしさが感じられる空間で、静かに流れるウィンナーワルツに耳を傾けながら、食卓に向かいます。
スクランブルエッグにはこんがりと焼き色がつき、香ばしさが口に広がります。ライ麦パンやデーツ入りのミューズリー、ヨーグルトにはプルーンと蜂蜜を添えて。朝から体にやさしく、満たされるひととき。

ホテルの朝食。
カボチャの種がついたパン。ソーセージ、ハム、焼き色のついたスクランブルエッグ、ヨーグルトと蜂蜜。
昼下がりは、オペラ座近くの中華レストラン、Asiamへ。旅先で恋しくなる温かいごはん。この日は、三種の肉とたっぷりの野菜が彩る五目焼きそば。スープの旨味が染みわたり、素朴ながら深い味わいでした。異国で出会う中華は、まさに胃袋もお財布的にもホッとできる場所です。

五目焼きそばが美味しい。
夜は、コンツェルトハウスでカメラータ・ザルツブルグのコンサートを鑑賞。

コンツェルトハウス・ウィーン。

Camerata Salzburgとバイオリニストは、Janine Jansen

コンツェルトハウスウィーンの幕間で。スモークサーモンのオープンサンド。
コンサート会場で、こんなに美味しいスモークサーモンは珍しい。
終演後、夜風に吹かれながらホテルへと歩く途中で立ち寄ったのは、ケルントナー通りにあるジェラートショップ、Vitavien | Kärntner。チョコレートに刻みピスタチオがたっぷり混ぜ込まれたフレーバーは、香ばしさと甘みのバランスが絶妙で、散歩の余韻にぴったりでした。

ジェラート屋さん。種類があって目移りしますが、看板商品ドバイチョコレート入りのアイスクリームに。

ジェラート屋さん正面。ジェラートだけでなく、ドバイチョコレートも。イートインコーナーもありました。
6月のウィーンは、美味しい記憶に満ちていました。音楽と甘いものと、揚げたてのシュニッツェルと。風景とともに、心を満たしてくれる。そんな旅の味でした。






