日米「合意文書なき合意」の末路:相互関税15%発動、修正は困難か

アメリカの相互関税制度が7日に新税率へ移行しました。トランプ政権は関税引き下げを各国と合意したと主張していますが、実際には日米間で内容の食い違いがあり、日本の税負担軽減は実現しないまま発効されました。

今回の制度では、日本に対して15%の関税が一律で上乗せされます。一方、欧州連合(EU)には特別措置が適用され、税率が15%未満の品目については追加課税されませんでした。日本政府は特例の適用を期待していましたが、米国の官報にはその記載がなく、事実上、対象外とされた形です。

こうした状況を受け、日本政府は赤沢亮正経済財政・再生相を米国に派遣し、修正を求めています。また、日米合意では自動車関税を27.5%から15%に下げることも確認されていたとのことですが、これに必要な大統領令は発出されておらず、実行の見通しは立っていません。

https://twitter.com/ryosei_akazawa/status/1953152261154034162

切実さが感じられない赤沢大臣の投稿 同大臣SNSより

他国との合意も履行が不透明です。イギリス、韓国、ベトナムなども米国との間に齟齬を抱えており、内容が曖昧なままの発効となっています。トランプ政権は今後、「分野別関税」へと政策の軸足を移す方針であり、半導体や医薬品への大幅な関税も示唆されています。

日本政府は合意内容を根拠に交渉を続けていますが、合意文書がないため米大統領令の違反を証明するのは困難です。米国内では相互関税の合法性を巡る訴訟が続き、一審で違法判決が出ましたが、仮に違憲が確定しても個別品目への関税は取り消されないことが十分に予想されます。

日本の要望が通る可能性は低く、米国の修正も望みにくい状況です。政府は関税交渉で重大な失策を犯しており、野党は見過ごすべきではありません。