ハッピーセットがこんなに不幸を呼ぶとは…マクドナルドを襲った転売騒動

マクドナルドでポケモンセットをめぐって買い占め騒動。こんなにゴミが増えているのは何事か!と思った人も多かっただろう。「ハッピーセット×ポケモンカード」キャンペーンによってマクドナルドでの行列と大混雑、大量の廃棄物の数々。SNSでも大炎上するのも当然だろう。

企業の行動やリスクマネジメントが生んだ「事件」ではあるが、「日本人ファースト」という考えに心情的に賛同する理由にもなっている。そう、日本社会のルール、皆が我慢しても守ってきた不文律が侵されている一例といってもいい。

どうしてこんなことに…
PhonlamaiPhoto/iStock

ハッピーセット騒動とは?

2025年8月8日からの3日間の、日本のマクドナルドで販売された「ハッピーセット×ポケモンカード」キャンペーンをめぐり、外国人による大量購入と転売行為が「騒動化」「問題化」した。

この騒動、一部の外国人(主に中国人・ベトナム人など)が大量購入したことが原因である。周囲に食品を放置・廃棄し、おまけのカードだけを転売する人が出てきたこと、店舗前に早朝から長蛇の列が起き、混雑・混乱も発生した。

これに対して、マクドナルドは、公式サイトで謝罪文を発表した。

「このたび実施いたしましたハッピーセット®「ポケモン」ポケモンカードキャンペーンにより、一部のお客様による転売を目的とした大量購入や、それに伴う店頭ならびに店舗周辺での混雑・混乱の発生、またご注文いただいた食品の放置・廃棄といった事象が発生したことを確認しております」

出典:日本マクドナルド株式会社公式HP

そこには真摯な反省のもと、今後の改善策も記載されている。具体的には「期間中、制限を超える大量購入を試みる、何度もカウンターに並ばれる、クルーに対して威圧的な態度をとるなど、ルールやマナーをお守りいただけないお客様に対しては、ご購入をお断りします」とのことである。

購入数の厳格な制限(例:1人5セットまで)、転売目的の購入者へのアプリ退会処理、フリマアプリ運営者との連携強化、店舗での注意喚起とマナー違反者への販売拒否などの対策を打ち出していくそうだ。

SDGsの取組を掲げているが、「食品ロス」を引き起こしてしまった。今回、食品廃棄量は推定2万〜3万食分、CO₂排出量は約25〜37.5トン、転売市場規模:推定2,000万〜3,000万円とも言われている。なんとも企業の責任が問われる事例になってしまった。

3つの問題点

今回の騒動。企業のコントロールの問題だが、転売目的の買い占めは近年、あからさまにやられるようになった。日本人でやっている方もいるが、全体に占める割合は中国人の方々が多い。日本人の多くが「普通はそこまでやらないだろう」というラインを超えたものになっている。

問題は3つである。

第1に、中国人・ベトナム人の一部の方々がルール・不文律を守らなくてもお構いなしというメンタリティと行動特性にどう対応するのか。

「5つまでがルールやで」と言っても「そんなん知るか!(守る必要ないじゃん)」という心情なのだろう。「他人からどう見られようが知らない」というスタンスなので、周囲にゴミを捨てても気にしないわけだ。こうした感性や行動を少しばかり「郷に」従ってもらえるか、多文化共生において最大の問題である。

第2に、メディア。今回取り上げられてはいたが、全体的な概説や一般的な話で、実際行動した人に直接取材されているケースは見受けられなかった。SDGsの観点からもっと掘り下げてもいいのに…と思うほどだ。大手クライアントなのでメディアでもどっぷり紹介はできないといったところか。どこかの市長の経歴詐欺問題ほどには特集されない。

第3に、SDGs的な意味では、どう考えてもある程度は予測できたはずだ。事業を実施する際に普通は色々検討する。事業の企画の際(目的、成果、進め方、リスク)、このリスクをどう予測したのか、予測結果をどう検討したか、意思決定したのか、内部での検討プロセスはとても気になる。

現象が想像以上だったのか、売上が上がればゴミが出ようがOKだったのか、内部でどんな検討が行われたのか。そのあたりをこそ「社会的責任」だろう。

日本人ファーストが支持を得る理由

これは警察も介入できないし、地方自治体の環境関係の担当者は現場に行っても何もできない。一企業の問題ではあるが、周囲の方々にはかなりの迷惑をもたらした。

筆者が以前書いたように(筆者記事参考

  • 街や電車内、トイレなどでの振舞い場面
  • 民泊ビジネスで振舞い場面
  • ホテルや観光場面
  • マンション購入場面

での「外国人」の行動に焦点を当てて議論していかないといけないだろう。

日本人の多くが「(私たちは守っているのに)なんで迷惑を考えないのよ」という心理が、今回の「日本人ファースト」の本質だろう。オーバーツーリズムと共通の要因を持っている。

  • 5つまでというルールを守らない
  • ゴミを放置する、周りを気にもしない

というあたりの行動をどう変えてもらうか? 相互理解のため、外国人の方々に考えてもらうために何かしら行動するしかないだろう。その意味で「多文化共生」が今こそ求められる時代もないだろう。

最後に、儲かれば問題がおきようがOKということになってしまったという意味で、今回、SDGsのワースト事例になってしまった。

マクドナルドは真摯に反省されているのだが、検討プロセスの検証を提案したい。それをしないとマクドナルドの企業ブランド価値が大きく棄損してしまう。マクドナルドに期待したい!