法人税増税をめぐり与野党が動き出す:現役世代にさらなる負担を押し付ける野党の減税論

与野党で法人税の増税論が浮上しています。背景には、野党が消費税や所得税の減税を主張しているため、財源探しの矛先が企業に集中している事情があります。

自民党も恒久的な財源を条件に減税を進める構えで、法人税率引き上げを選択肢としています。石破首相や宮沢税調会長は、これまでの法人減税が十分な賃上げや投資につながらなかったと認め、増税方向に含みを持たせています。

野田佳彦代表 立憲民主党HPより

ただし、日本の法人税率は国際的に見てもまだ高水準です。これ以上の引き上げは、世界的な引き下げの流れに逆行し、企業の競争力を削ぎ、海外移転や投資縮小を招きかねません。結果として、日本全体の貧困化につながる恐れがあります。

さらに、「企業が税を払う」という考え方自体が誤解です。法人税の負担は、最終的に従業員の給与削減や消費者への価格転嫁を通じて社会全体が背負うことになります。法人税だけを標的にしても、結局は現役世代が負担する構造です。

https://twitter.com/MurasakiScience/status/1936346657672851762

一方で、企業の内部留保が過去最高の600兆円を超えたことが増税論の根拠となっています。

野党は累進課税や租税特別措置の見直しを掲げ、大企業優遇の是正を訴えています。しかし、中小企業の多くは赤字法人のため法人税を支払っていません。

しかし、もし本当に消費税廃止と法人税増税で経済が回るなら、各国が既に採用しているはずです。実際には逆で、先進国は消費税のような安定財源を重視し、法人税率は下げて投資や雇用拡大を促しています。日本は消費税率が低く法人税率が高いというアンバランスな構造を抱えているのが現状です。

法人税を下げれば企業は投資や設備拡大に資金を回しやすくなり、賃上げにつながる可能性があります。消費税は経済成長を直接妨げる要因ではなく、むしろ各国で広く採用される安定財源です。

https://twitter.com/utbuffett/status/1939985421125263788

こうした点を踏まえると、法人税引き上げ論は「一番文句が出にくいところから取る」という政治的方便に見え、結果的に日本経済の活力を奪う「経済の腰折れ策」になりかねないという批判が根強いのです。