唐揚げ1個の給食が映す日本の貧困化:高コスト化の原因は食材費高騰だけじゃない?

福岡市の小学校で「唐揚げ1個の給食」が提供され、「粗末すぎる」と批判が殺到しました。実際には栄養基準を満たしてたそうですが、見た目の寂しさが保護者やSNSの不満を招きました。

食材費の高騰は日本の貧困化の表れだと憂う声がそこかしこから聞こえてきますが、その原因は単純ではないようです。

根本の原因は、1食あたり289円という固定された食材予算にあり、物価高騰や年度末の予算不足を見越して、年度初めから質素な献立にせざるを得なかったことのようです。現場では肉の部位を変えたり、野菜を1グラム単位で減らすなど工夫をしていますが、契約や予算の仕組み上、急な価格変動に対応できない構造的な問題があるそうです。

一方、隠れた要因として福岡市は国産・地元産食材に強くこだわっていたためコスト高体質となり、唐揚げのように個数やサイズが際立つ献立では特に貧相さが目立ってしまったそうです。

参照:元給食営業マンが「福岡市の唐揚げ1個学校給食」の原因と背景を考察してみた。

東京・品川区のオーガニック給食がとくに有名ですが、このような流れは全国的に広がっており、奈良市や久留米市でも給食の質や費用が課題になっています。

給食の貧困化の原因は、コメ高騰問題と似ているのかもしれません。

今回の問題は、食材予算や制度設計、そして国の予算の使い方そのものだけでなく、われわれの価値観自体を見直す必要がありそうです。