ザルツブルクから日帰り旅:アッター湖の美しい景色と甘いひととき

出口 里佐

出口里佐です。

8月中旬から10日間ほど、ザルツブルクとルツェルンの音楽祭を聴きに行ってきました。

ザルツブルクに滞在している間、夕方の公演までの時間をどう過ごすかは大きな楽しみです。先日は、その余白を使って、ザルツブルク中央駅から電車に揺られて1時間、そしてVocklamarktで2両編成に乗り換えて、更に23分、憧れていたアッター湖へ足を延ばしてきました。

アッター湖。ザルツブルク中央駅から、鉄道で1時間半ほどで到着します。
写真は、iStock/Leonsbox

芸術家に愛された湖へ

アッター湖は、クリムトが夏を過ごした別荘があったり、マーラーが作曲のために湖畔に小屋を建てたりと、芸術家たちがインスピレーションを得てきた場所。昨年、ある方のSNSで見た写真の美しさに心を奪われて以来、ずっと訪れてみたいと思っていた湖です。

実際に行ってみると、駅から遊覧船乗り場までの道が少し分かりにくく、迷ってしまったり、チケット購入で戸惑ったりと、ちょっとしたハプニングも。でもそれも一人旅の楽しさのひとつで、振り返ると微笑ましい思い出になりました。

駅から遊覧船乗り場までは、少し迷いました。
こののぼりを見たときは、ホッとしました。

湖畔で味わった小さな幸せ

イタリア産のチョコレートとナッツがコーティングされたアイスキャンディ。
3.5ユーロ。現金のみでした。

遊覧船乗り場周辺

遊覧船の出発まで時間があったので、売店でアイスキャンデーをひとつ。イタリア産のナッツとチョコレートを使った本格派で、湖のきらめきを眺めながらいただくと、冷たい甘さが心まで解きほぐしてくれました。3.5ユーロのちょっとしたおやつですが、旅の中では忘れられないご褒美です。

船上のランチとオーストリア流「アイスコーヒー」

遊覧船には、クリムト的な絵の一部分と、マーラーの音楽を思わせる音符が連なるイラストが描かれていいました。

絵画のような船からの景色。

選んだのは2時間半ほどの南回りコース、29.5ユーロ。チケットの予約は数日前に、遊覧船のサイトからオンラインで出来ました。船体にはクリムトを思わせる装飾が描かれ、マーラーの旋律を想起させる音符も描かれていました。エメラルドグリーンの湖面を渡る風とともに、次々に現れる瀟洒なホテルやビーチを眺めていると、絵画の中を旅しているような気分になります。

遊覧船のスタッフは、赤いエプロンがユニフォーム。

アイスコーヒーとソーセージ、パンを頼んだつもりが。こんなに立派なコーヒーフロート。
14.5ユーロ。クレジットカード可。

船内に飾られていたクリムトのアッターゼーを描いた絵の複製。
やはりエメラルドグリーンです。

ちょうどお昼時だったので、船内でソーセージとパン、そして「アイスコーヒー」を注文してみました。ところが運ばれてきたのは、日本の冷たいコーヒーではなく、バニラアイスと生クリームがのったコーヒーフロートのような一杯。思わず笑ってしまいましたが、甘く濃厚な味わいは、湖上の風景によく似合っていて、いい思い出になりました。

船からの風景。エメラルドグリーンの湖は穏やか。

次は北回りの航路へ

朝9時半にザルツブルクを出て、帰ってきたのは夕方4時半。小さな日帰り旅行でしたが、心には大きな余韻が残りました。次回は駅の窓口よりも、アッター湖までの片道3ユーロもお得になる、OBBアプリで鉄道チケットを手配して、遊覧船の北回りの航路に乗ってみようと思います。

遊覧船は区間料金もあるので、途中下船して、クリムトセンターやクリムト庭園を散策するのも楽しそうです。音楽祭の公演がない日に湖畔のホテルに1泊するのも良いかもしれません。

ザルツブルクに滞在していて一日自由な時間があれば、ぜひ訪れてみてください。クリムトの絵やマーラーの音楽が好きな方には、きっと特別な旅になるはずです。