就労資格のない外国人を食事宅配サービス「出前館」の配達員として働かせていた男が、警視庁に摘発されましたが、この事件、日本では一応報道されましたが、あまり騒ぎになっていませんね。

出前館の出前のようす 同社HPより
しかしあまり騒ぎにならなかったと言う点で私はぞっといたしました。
日本人が「出前館」のアカウントを作って、就労資格がない1400人もの外国人に月2万円で貸し出して、日本人と外国人の仲介役が手数料を中抜して儲けていたというのが背景ですが、このニュースはあまりにもさらっと報道されてしまったためにこれがどれだけ深刻なことかと言うことを全く理解していない日本の方が多いように思います。
まず最も重要なポイントとしては「就労資格のない外国人」と言う点です。
日本に中・長期で滞在する外国人は技能実習生や就労許可、留学生、経営管理などのビザを取っているわけですがこの人たちは合法に働くことができます。
ところが「就労資格がない」と言う事はどういうことかと言うと、異常なしで旅行者として日本に入国していたり、滞在が中期間になるので旅行者のビザをとっていると言うパターンです。
基本的に旅行者として入国していると、その国で働くことができませんし、就労できるビザをとっている人と言うのは法務省の審査を通ってからビザを取得しているのである程度の背景のスクリーニングが行われています。
ところが旅行者として入ってくる場合はそういうチェックがないのでゆるゆるです。
しかし今回の事件で名義を借りてバイトしまくっていた外国人の多くはウズベキスタン人ですが、旧ソ連の人が日本に入国する場合は、短期の観光や商用、学術会議などの参加でもビザが必要で、申請には一ヶ月ぐらいかかる場合が少なくありません。
しかも日本人の身元保証人や会社による招聘が必要です。招聘の理由を書かなければなりませんし、滞在先の住所やスケジュールも提出が必要になります。戸籍謄本や住民票の提出も必要になってきます。つまりビザ申請者が逃亡したり行方不明になった場合は責任を負わなければなりません。
申請する人の渡航費用支払能力の証明として課税証明書や収入証明書も出さなければなりません。
外務省「一次有効の短期滞在」ビザ申請のための提出書類一覧表(CIS諸国、ウクライナ、ジョージア国籍の方)
つまりこれだけたくさんの書類が必要で手続きも結構大変になっているのは旧ソ連の出身者は日本には簡単に入国させませんよ、日本政府が身分をきっちり調べさせてもらいますと、言うことです。それだけ警戒されていると言うことです。
なぜ警戒するかと言うとウズベキスタンを含め旧ソ連諸国は日本に比べるとまだまだ収入レベルが低く日本で不法滞在して働きたいと言う人がかなりいるからです。
実は私はウズベキスタンとは結構縁があり、実家にはウズベキスタン出身の学生がホームステイしていたこともあって現地の事情は比較的よく知っています。
さらに観光ビザすらないという人間もいるはずです。つまり不法入国、不法滞在です。
日本のメディアは不法滞在者のことをただ単にビザの滞在期限が過ぎてしまったとかパスポートがうっかり執行してしまったと言うような「悪気がない外国人」として描くことがよくありますが実態は違います。
そもそも不法入国や不法滞在をする人々は悪意を持ってやっています。
さらに日本の人は海外ニュースを見ていないので知らないと思いますが実はウズベキスタンはイスラム系の過激派が近年活動活発にしていることです。
かつてソ連だった頃とは違って現在ではイスラム教の影響が非常に強くなっており、イスラム国に参加するものやウズベキスタン国内や近隣国で騒動を起こす人間もいるのです。
そういう状況の国なので入国審査が非常に厳しいわけですが、今回「出前館」で働いていたウズベキスタン人は一体どのような形で日本に入国し滞在していたのか。
入国ビザを取得するのにはこのようにある程度厳しい審査があるわけですし、日本人の身元保証人もいるはずです。しかしもしかしたら観光ビザすら取らずなんらかの形で不法入国していた可能性もあるわけです。
さらに彼らが日本人経由で受け取っていた「出前館」の報酬に対して所得税は払っていません。
日本に住民票がないわけですから税金を払うも何もないわけです。では彼らが得た報酬は一体どのように保存されどのように海外に持ち出されたのか?
日本は海外送金にかなり厳しいのですが、誰か代理人に送迎サービスを使って送ってもらった可能性が高いでしょう。もしくは現金での報酬受け取りかもしれません。
そして受け取った報酬を彼らが一体何に使っていたかと言うことです。例えば仮に過激派の関係者だった場合は報酬がテロ活動に使われると言うこともあるわけです。
さらに日本の人々は注意を払っておりませんが、このように身元が不確かな外国人が配達サービスをやると言う事は本当にリスクが高いのです。
何故かと申しますとお客さんの住居が分かりますし家族構成や経済レベルがわかってしまうからです。
つまり空き巣や強盗、性犯罪の下見に最適な仕事なわけです。
実際にイギリスでは配送サービスをやってユーザの情報を入手しその後強盗に入ったと言う例が存在しています。それが恐ろしいために郵便局やDHLなどの大手の配送会社のサービス以外は使うのを一切やめたと言う人も少なくありません。
日本政府はこういった配送サービスの会社に対してドライバーの情報提供を要求したり、毎日配送を始める際にドライバーの本人かどうかをスマホや事務所の端末の生体認証で確認するといった仕組みを義務化することができるはずです。マイナンバー提出を義務化し、収入の状況を自動的に政府に送ると言うことも必須にするべきです。
また街中に多くの監視カメラを設置し、生体認証でドライバーを確認、抜き打ちで検査をすると言うことも必要になるでしょう。
実際こういった監視カメラは日本企業が得意とするところでありイギリスで使われているものも日本企業が提供していたりします。
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