黒坂岳央です。
人は年を取ると、社会に対して「今の世の中は間違っている」「若い人はけしからん」ととにかくダメ出しをするようになる。仕事で高齢者と話をする機会があるが、一線で働き続けるビジネスマンでも話は「今の社会はおかしい」という話題がよく出る。
確かに我が国には解決せねばならない課題があるのは事実だ。しかし、よくよく話を聞くと間違っているのは彼らと感じることも少なくない。
なぜ年を取ると世の中はダメだと言い始めるのだろうか?

Edwin Tan/iStock
学習を止めたら浦島太郎になる
最大の理由は、彼らが勉強をしないからだ。昔の感覚のまま、変化した世の中に置いていかれているのである。
社会は10年、20年で大きく姿を変える。最近では変化が早く、これが更に短いスパンになっている。だが、多くの大人は学習を止めたまま日々の生活を過ごす。その結果、自分だけが取り残されて「世の中はおかしい」と錯覚するのである。
たとえば、「副業なんてけしからん」「投資なんて危ない」というお年寄りはいまだに多く存在する。「一流のビジネスマンたるもの、一社に滅私奉公して人生を捧げなさい」と。
しかし現実には、終身雇用は日本最強企業のトヨタですら崩壊し、個人が収入源を分散させることはむしろリスク管理として常識になっている。政府が副業や投資を推進する時代に「けしからん」という意見は論理的に間違っているようにみえる。「間違っている」というなら「では代案は?」となるが、おそらくその代案は出てこない。不勉強だからだ。
年を取ると知らず知らずのうちに「浦島太郎」になってしまうのだ。
日本人は勉強しない
そもそも日本人は社会人になった後の学習時間が圧倒的に少ない。だから余計に浦島太郎になりやすい。
国際比較では、大学卒業後に勉強を続ける時間が先進国の中で最低レベルであることが示されている。厚労省のデータによれば、企業が人材に投資する金額も英米独仏伊と比べて突出して低い。つまり、我が国は「18歳がピークでその後はまったく学ばない」という人がほとんどなのだ。
学びを止めれば、当然ながら知識は古び、価値観は過去に取り残される。時代錯誤のズレたことを言い続けるお年寄りになってしまうわけだ。
「べき論」が出てきたら危険信号
興味深いのは、この現象が最近ではお年寄りに限らないということである。30代半ばにもなれば、「こうあるべきだ」といったべき論を口にする人が増えてくる。自分本位で客観性に欠いた「べき論」が出るようになったら、頭が年寄り化するサインだと思った方がいい。
なぜなら、常に学び続けている人はそのような発想をしないからだ。勉強家というものは、常に「間違っているのは自分の方かもしれない」「こうだと思うが、なぜそうなのか」と仮説と検証を繰り返す姿勢を持っているのである。
◇
年を取ると社会にダメ出しが増えるのは老化現象だ。しかし、身体的な老化と違ってこちらは予防も治療も可能だ。
最大のアンチエイジングとは「新しいことに挑戦し続ける」である。人間はコンフォートゾーンを抜けた数だけ強くなるし、メンタルも若返るように出来ている。
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