租税特別措置は減税ではなく事実上の既得権・補助金である

自民党が補助金代わりにばら撒いてきた租税特別措置は平成24年度からさらに膨張を重ね、今や法人税収全体の15%を占めるまでになっています。

全体の15%を占めるのはもはや「特例」の枠を超えており、ならばその分を国民に幅広く行き渡る減税や社会保険料軽減の原資とするべきです。

とりわけ平成25年から始まった賃上げ税制は令和5年度で約7,000億円、昭和42年(!)から始まった研究開発税制は約9,500億円もの金額になっています。

もはや長期に渡る措置は完全に形骸化し、その効果は極めて不透明であると言わざるを得ません。

一部企業や業界の既得権と化している租税特別措置は原則廃止を目指し、まずはその第一歩として、法人税収全体の10%以下に縮減する措置を速やかに講じるべきではないでしょうか。

それだけでも出てくる財源は約1兆円。すべて廃止できれば約2.9兆円。

全国民に2万円を給付する予定だった3.5兆円の財源と合わせて、ガソリン減税や子ども子育て支援金徴収(=社会保険料の負担増)の廃止・凍結は十分に可能となります。

なお、「維新の政策思想として租税特別措置の廃止はない」という誤った指摘があったようですが、維新の会は結党以来、租税特別措置は廃止・見直しを目指すと明確に掲げています。

書きぶりを変えながら、直近の選挙すべてにおいてもマニフェスト(選挙公約・政策集)に明記しておりますので、以下に参考として掲載しておくものです。

※維新に詳しい一般人より

2021年マニフェスト(衆院選)
既得権益化した複雑な租税特別措置法を廃止し、「簡素、公平、活力」の税制へと転換を図ります。

2022年マニフェスト(参院選)
複雑な租税特別措置法を廃止し、「簡素、公平、活力」の税制へと転換を図ります。

2024年マニフェスト(衆院選)
複雑な租税特別措置法を廃止し、「簡素、公平、活力」の税制へと転換を図ります。

2025マニフェスト(参院選)
現行の租税特別措置法は複雑かつ受益者の偏りがあり、税制全体の公平性や透明性に課題があることから、租税特別措置法を廃止し、各租税特別措置の要否をゼロベースで見直すことで、「簡素、公平、活力」の税制へと転換を図ります。

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編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年9月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。