黒坂岳央です。
最近、学校の保護者同士で会話をする中で「多くの人はデフレの感覚のまま生きている」と感じる事が増えた。
話題にあがるのは節約や貯金、値下げセール情報や将来キャリアについてであるが、そのほとんどで「過去30年続いたデフレ経済の最適解」なのである。
自分を含めて今の30代、40代は円高、デフレ経済しか経験していない。そのため、コロナ禍以降の新しき世界の生き方をまだ分かっていない人が多いのだ。特にデフレとインフレでは「真逆の行動」が求められるので、頭の切り替えが必要である。
だが人間は未経験のことでも学習によって経験者のように振る舞う力がある。本稿では啓蒙を目的として書かれた。

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1. 給与は自分で決める
長く続いたデフレ経済では不況と就職難から、「給料は会社が与えてくれるもの。下手に転職などせず、じっと耐え忍ぶ」という戦略で生き延びた人も少なくない。
だが、インフレは真逆だ。黙って同じ会社で働いても昇給はせず、インフレで実質賃金が下がり続けるので毎年貧しくなる。こうした環境では、自己研鑽でスキルや付加価値を磨き、積極的に会社に給与交渉をする。それがかなわないなら、転職・副業でスキルに見合った報酬を得る発想を持つべきだ。
これはインフレ経済が続いた米国では当たり前の行動であり、米国ではベースアップはあるものの、ドラスティックな年収アップは基本的に転職という選択をする。日本でも今後がさらに転職や副業などが当たり前になるだろう。
2. お客様は神様
デフレ経済下では「お客様は神様、人員は奴隷」みたいな主従関係が透けて見えた。だが、すでにこの逆転現象が起きている。
自分が子供の頃、時々いっていた動物園は「スタッフ不足で一時休園」となっているし、我が国では跡継ぎがいない理由で会社の倒産も増えている。
従業員は高給、採用に力を入れないとなかなか来ないのに、お客さんは世界中からいくらでもやってくる。このような状況なので、ビジネスを提供する側は「従業員の代わりはいないが、お客さんの代わりはいくらでもいる」という感覚となっていくだろう。実際、マクロでは需要過多となっている。
未だにこの変化を理解せず、スタッフに怒鳴りつけるお年寄りもいるが、店内には「カスハラには毅然と対応します」とポスターも貼られており、時代は変わったと頭を切り替えるべきだ。
3. 投資は必須
デフレ経済下では「現金預金」が最適解だったが、インフレでは現金の実質価値は減る一方である。また、r>gは今や誰しも知るところとなり、貯金をする代わりにゴールドや株のインデックスを買う方が良いというのは常識になっている。
「投資は一部のお金の亡者だけの活動」という「お金は汚い」という感覚の人もまだいるが、そうした感覚が結果的に自分を不利にしてしまうだろう。
4. 商品は発売日に買う
デフレの時代は「型落ち品を安く買う」という行動が正義だったが、商品によっては「発売日が最も安く、ドンドン値上げしていく」のが当たり前になりつつある。
筆者が2年前に購入した2TBのポータブルSSD、購入時は2万円で現在は3万円を超えている。その他、裁断機や体重計、スピーカー、パソコンデスクまで多くの商品が買った時より値上げしているのだ。平成のガソリンスタンド、マクドナルドや牛丼の価格表の古い写真を見れば、仰天する人もいるだろう。
こうなると欲しいものは一日でも早く買い、買い替える時に下取りに出すのが最も合理的になる。
◇
デフレは耐える時代だが、インフレは行動する時代だ。これまでは節約、貯金で乗り切った人は自己投資、行動力の発想で対応する必要がある。いつの時代も「変化できた者が生き残る」という原理原則があることを忘れてはいけない。
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