出入国在留管理庁が、外国人が日本で起業する際に必要な在留資格「経営・管理」に対し、日本語能力要件を追加する方針を固めました。
具体的には、申請者本人か常勤職員のいずれかが「B2(中上級)」程度の日本語力を持つことを条件にするというものです。
資本金要件の大幅引き上げに続く追加的な規制強化。地域住民とのコミュニケーション不全を防ぎ、「社会との摩擦」を和らげる狙いだと報じられています。

なぜ経営管理ビザが問題視されてきたのか
「経営・管理」ビザは、本来であれば外国人による健全な起業や雇用創出を後押しする制度です。しかし実態としては、一部で制度の“濫用”が横行していました。
例えば、名ばかりの会社を設立し、実際には日本の医療保険制度にただ便乗する。格安で医療サービスを受けるためだけに在留資格を取得する。こうしたケースが社会保障費の増大を加速させているのです。
つまり「社会保険料をいくら上げても、バケツの底に穴が空いていたら意味がない」。現役世代に過重な負担を強いている最大の要因は、まさにこうした制度の抜け穴でもあります。
日本語要件追加は一歩前進
今回の日本語要件追加は、そうした“穴”を塞ぐ方向性の一歩。少なくとも日本で事業を営む以上、地域住民や役所との最低限のやり取りが可能であるべきです。
日本人の従業員を雇用する形でも要件を満たせるのは、現実的な落とし所と言えるでしょう。
しかしながら問題は「制度を設けただけで安心してしまう」ことです。形式的に日本語ができる従業員を置くだけで実態は変わらない、という抜け道が必ず発生します。ここを厳格にチェックし、運用することが肝心です。
社会保障を守るために「バケツの穴」を塞ぐ
私は繰り返し訴えてきましたが、社会保険料を下げるためには、まずはムダや不公平を徹底的に削る必要があります。
外国人の制度悪用はその典型です。まじめに働く人々が汗を流して納めた保険料が、不正利用によって食いつぶされるのを見過ごすわけにはいきません。
この改正が単なる「見せかけ」ではなく、実効性ある制度運用につながるよう注視していきます。
編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年9月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。






