高市早苗氏「奈良のシカ」蹴る外国人に怒り心頭も事実未確認?

自民党総裁選が告示された9月22日、高市早苗前経済安全保障担当相は所見発表演説会で「外国人が奈良公園のシカを蹴る・殴る」と訴え、外国人対策の強化を主張した。この発言は党内外で波紋を広げた。

  • 高市氏は自身を「奈良、大和の女」と紹介し、万葉集の鹿を詠む歌を吟じた後、奈良のシカを外国人が蹴ったり殴ったりするという動画を引用して外国人観光客の問題を指摘。
  • 「日本人の気持ちを踏みにじって喜ぶ外国人がいるなら、何かをしなければならない」「日本の伝統を守るために体を張る」と強調。
  • 神社の鳥居にぶら下がる観光客の例も挙げ、日本文化保護の必要性を訴えた。

事実関係

  • 奈良県の担当者は「暴力行為が日常的に確認された事実はなく、通報もない」と説明。
  • 問題視された動画の人物が外国人かどうかは特定されていない。
  • 近年、シカを襲って有罪となったケースもあるが、外国人によるものとは確認されていない。

政治的背景

  • 7月の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党に自民党支持層が流れたとの分析があり、保守層の支持回復を意識した発言との見方が出ている。
  • 高市氏は安倍晋三元首相のリーダーシップを称え、男系皇統維持のための皇室典範改正や自衛隊明記の憲法改正、女性登用など保守政策を強調した。

反応

  • 国民民主党の玉木雄一郎代表は「事実なら法令に従った処分が必要」と同調。
  • 共産党の小池晃書記局長は「排外主義をあおり立てる」と批判。
  • 与野党で賛否が割れ、社会的な議論を呼んだ。

高市氏の演説は、外国人による奈良公園のシカ暴行という未確認の事例を象徴的に取り上げ、外国人対策と伝統保護を訴えることで保守層へのアピールを狙ったとみられる。一方、事実確認が不十分な点や排外主義を助長する懸念から、野党や世論からは賛否両論が噴出している。

自民党総裁選の演説会で熱弁を振るう高市早苗氏