白壁土蔵だけじゃない:鳥取県倉吉の街並みを歩く

鳥取県中部の町、倉吉市に来ました。鳥取県に来たのは4年ぶり。久しぶりの山陰旅行です。

市の中心部では元横綱・初代琴櫻の銅像が出迎えてくれます。現役の琴櫻の祖父にあたる初代琴櫻は倉吉出身。この町のヒーローです。

倉吉は江戸時代初期、天領を経て鳥取藩の一部となると倉吉陣屋を拠点とした倉吉荒尾氏による政治によって商人の町として発展しました。陣屋の外堀だったと言われる打吹玉川のほとりには白壁の土蔵が並び、かつてここが商人地として繁栄していたことを伺わせます。

江戸時代の古い町並みを残す倉吉は、たびたび映画の撮影地にもなっています。私が訪ねたときも映画の撮影が行われていたようで道路がこのように未舗装の状態に戻されていました。お土産店の店員が「あそこでさ、滝、滝何だっけ…ああ、滝藤賢一!あの人撮影に来てたよ」と会話していました。滝藤賢一、なかなか個性的で好きな俳優なんですよね!会いたかった。

このドラマが好きでした。

と思ったら、古い街並みの一角でその映画撮影部隊がいました。昭和30年代の設定のようで、郵便ポストもその時代っぽいものが建てられていますね。残念ながら滝藤賢一さんはいませんでしたが、子役の女の子がクランクアップだったらしく花束をもらって泣いていました。

映画『遥かな町へ』オフィシャルサイト
映画『遥かな町へ』オフィシャルウェブサイト | 『孤独のグルメ』『神々の山嶺』で有名な、漫画家、故・谷口ジローさん(鳥取市出身)が昭和30年代の倉吉市を描いた漫画『遥かな町へ』実写映画化。 監督には『白い船』『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』『たたら侍』『高津川』など、何気ない日常をとらえる描...

「遥かな町へ」という映画だそうです。公開が楽しみです。この映画の原作は鳥取市出身の谷口ジローさん。彼の代表的作品といえば、

そう、「孤独のグルメ」です。打吹玉川沿いの土産店赤瓦一番館にフィギュアが飾られていました。

倉吉市はフィギュアメーカーの「グッドスマイルカンパニー」の工場を誘致して以来「フィギュアのまち」としても脚光を浴びているようです。古い街並みだけではなく、次世代の観光客の受け入れも図ろうと積極的な取り組みを行っています。隣の北栄町は「名探偵コナン」の作者の青山剛昌さんの出身地でコナン館もあり、アニメ絡みの観光も呼び込めそうです。

さて、街並みに話を戻しましょう。倉吉は白壁土蔵だけではなく、赤瓦の古い建物も多く残る町です。山陰の赤瓦といえば島根県西部の石州瓦が有名ですが、鉄分を多く含み、1200℃の高温で焼いて作ることで山陰の厳しい冬でも凍結して割れない瓦になるそうです。近年は倉吉にも赤瓦を製造する工場ができて赤瓦の美しい街並みを陰から支えています。

倉吉の町の中には赤瓦の建物が点在しており、主だった建物には番号がついています。こちらの赤瓦六号館は桑田醤油醸造所。

建物の中は昔の暮らしを思い起こさせる畳の間が残されていました。

桑田醤油、買いました。旅先で醤油を買うのマイブームです。以前の旅先で買った醤油がなくなってきていたので助かりました。

かつて商業が栄えた町には古くから銀行があることが多いのですが、倉吉も例外ではありません。旧日本産業貯蓄銀行の倉吉支店は地域発の西洋風の建物。今は観光弓道場となっています。

牧田家の財源となった綿。

最後に訪ねたのは倉吉の観光エリアの西の端に位置する、淀屋牧田家跡。大阪の淀屋にも密接な関係を持つと言われる豪商です。木綿の商売で人財産挙げたと言われています。

倉吉市公式ウェブサイトより。

写真でもわかりますが、家の中はかなり広くこれだけの部屋をもちます。

牧田家が出たあとは長屋として複数の華族が住んでいた時代もあったらしいです。いよいよ古くなって壊そうかという計画もありましたが、倉吉で最も古い1760年代の建物と分かり保存されることとなりました。

弁天社に通じる弁天参道がエモい。

鳥取のハワイ、羽合温泉

白い蔵が有名だけど赤瓦の街並みも美しく、フィギュアの町でもある倉吉。鳥取市内から車で1時間ほどでアクセスでき、近くには鳥取のハワイ、羽合温泉や三朝(みささ)温泉などの温泉地もあります。是非一度温泉が寺町も歩いていただき倉吉の町の美しさを感じていただきたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。