「強者」に甘いトランプ大統領:台湾をめぐる「米中密約」の影

トランプ大統領の二期目の外交は、まさに「全方位攻撃」とも言える強硬姿勢で知られています。コロンビア、カナダ、メキシコといった近隣諸国から、日本やNATO加盟国、さらにはベネズエラやイランなどの敵対国に至るまで、関税や武力行使をちらつかせることで圧力をかけてきました。

しかし、そんなトランプ大統領がなぜか「優しい顔」を見せる相手がいます。それが中国とロシアです。

https://agora-web.jp/archives/250928232902.html

かつては中国に対して高関税を課すと宣言し、貿易断絶すら思わせる強硬姿勢を見せていたトランプ大統領。しかし、中国がレアアース供給停止という切り札をちらつかせて以降、態度は一変。現在も関税交渉は続いていますが、インドやブラジルよりも低い関税率が中国に適用される可能性すら浮上しています。

さらに、米中間の懸案事項であるTikTokの米国売却が進展する一方で、中国側はその見返りとして「台湾の独立に反対する声明」をトランプ政権に求めていると報じられています。

https://twitter.com/Street_Insights/status/1972318086138384885

実際、トランプ大統領は台湾への武器売却を停滞させたり、台湾総統の米国経由訪問を阻止するなど、従来の米国の台湾支援方針から距離を置く動きを見せています。

ロシアに対しても、トランプ大統領の宥和的な姿勢は一貫しています。最近ではロシアへの圧力強化を訴える発言も見られますが、プーチン大統領の提案次第では、トランプ氏の態度が急変する可能性も否定できません。

現在の国際情勢は「新ヤルタ体制」とも呼ばれ、大国間の思惑によって世界の秩序が左右される傾向が強まっています。トランプ大統領は、国民や小国に発言権を与えず、トップダウンで物事を決める権威主義的な国家にシンパシーを抱いているようにも見えます。

米国自身も、こうした権威主義的傾向を強めているとの懸念が広がっています。

このような状況下で、日本は大国以外の中小国をまとめ、自由で開かれた国際秩序を守る旗振り役としての役割が求められています。新ヤルタ体制が国際社会のスタンダードとならないよう主権平等の原則、法の支配を基盤とした外交を推進する必要があります。