トランプ政権、ベネズエラに軍事作戦の照準:戦争しない公約はどこへ?

トランプ政権がベネズエラ領内の麻薬組織を標的とした軍事作戦を計画している可能性があると、NBCニュースが報じました。もしこれが事実であれば、米国の内向き化と「中南米ファースト」路線を象徴する動きであり、トランプ政権の外交姿勢に新たな転換点が訪れていることを意味します。

米軍当局者は、ベネズエラ国内の麻薬密売人を標的にするための選択肢を検討しており、その国境内での攻撃は数週間以内に始まる可能性があると、4人の情報筋がNBCニュースに語った。

9月に入ってから、ベネズエラの麻薬船と目される船舶が米軍によって沈没させられました。米国国内法、そして国際法の観点から見ても、その法的根拠は極めて曖昧です。しかし、トランプ政権はその点に関して一切の懸念を示していません。

アメリカはベネズエラと戦争中か?最新の攻撃が法的懸念を引き起こす

副大統領であり弁護士資格を持つヴァンス氏は、法的根拠を問われた際に「知ったこっちゃない」と発言。法の制約を意に介さず、麻薬撲滅に突き進む姿勢は、トランプ政権の“執念”すら感じさせます。

あなたがそれを何と呼ぼうが知ったこっちゃない

米国の中南米政策を実質的に主導しているのは、ルビオ国務長官です。彼はトランプ政権一期目からベネズエラ政府の転覆を公然と要求しており、現在は国務長官と安全保障担当補佐官という要職を兼任。長年の目標達成に向けて、軍事行動を含む強硬策に踏み切る可能性が高まっています。

トランプ氏は就任演説で「戦争を起こさない」と明言していました。しかし、イランの核施設への攻撃計画や、ロシア・ウクライナ戦争に対する継続支援の発言など、現実の政策はその公約と乖離しています。

は成功を勝利した戦いだけでなく、終させた戦争、そしておそらく最ものは、決して関与しなかった戦争によっても測るだろう。」 –ドナルド・J・トランプ大統

歴史的に米国は中南米諸国を「裏庭」とみなし、軍事介入を繰り返してきました。今回のベネズエラ攻撃計画も、その延長線上にあると見ることができます。

ベネズエラへの軍事介入が実現すれば、トランプ氏が抑制したいと公言している不法移民問題がむしろ悪化する可能性があります。国力の小さい近隣諸国に対して強硬姿勢を取ることで一時的な満足感は得られるかもしれませんが、世界的に脅威が高まる中国への対応を考えれば、冷静かつ戦略的な安全保障政策が求められます。

ルビオ国務長官ら主要閣僚とトランプ大統領 ホワイトハウスXより