10月9日以降、パキスタンとアフガニスタンの間で武力衝突が拡大している。パキスタンのアフガニスタンへの空爆と、それに対するタリバン暫定政権による報復攻撃をきっかけに、両国は国境全域で交戦状態に入り、南アジアの緊張が一気に高まっている。
- 10月9日夜、パキスタン軍がアフガニスタン東部やカブール近郊を空爆。パキスタン国内で活動するイスラム武装組織「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の拠点を狙ったものとみられる。
- これに対し、アフガン国防省は「領空侵犯であり主権侵害」と非難。民間人被害も発生したと発表した。カブール中心部でも爆発が起き、緊張が急速に高まった。
- 11日夜、タリバン暫定政権軍がパキスタンへの大規模な報復攻撃を開始。国境地帯全域で重火器を使用した戦闘が行われ、パキスタン側も反撃。双方に死傷者が出ている。
- アフガン側は「不当な空爆への報復」と主張し、パキスタン側は「テロ組織を匿うタリバンへの正当な対抗措置」と反論。情報戦の様相も呈している。
- 10日、インドのジャイシャンカル外相がタリバンのムタキ外相と会談し、カブール大使館の再開を表明。「越境テロという共通の脅威」を強調し、パキスタンを暗に批判した。インドとタリバンの接近は地域の力学に新たな影響を与えている。
- タリバン政権を正式承認しているのはロシアのみだが、中国や米国も外交接触を拡大中。アフガニスタンをめぐる国際的な駆け引きが再び活発化している。
パキスタンの空爆を機に、タリバンが報復に転じたことで両国は全面衝突に発展した。これにインドの動きが加わり、南アジアの地政学的緊張は新たな段階に入った。外交ルートの遮断と武力の応酬が続けば、地域の安全保障構造そのものが揺らぐ可能性がある。

複雑に絡み合うパキスタン・アフガニスタン・インドの利害 hansslegers/iStock






