高市早苗首相は18日、就任後初めて日本銀行の植田和男総裁と会談し、金融政策の正常化や為替動向などをめぐって意見交換した。円安が進む中で市場の警戒が強まるなか、両者の発言に注目が集まったが、会談自体には大きなサプライズはなかった。
- 高市首相と植田日銀総裁は首相官邸で約25分間会談し、日銀が進めてきた金融政策正常化の方向性について意見交換した。
- 植田総裁は為替について「ファンダメンタルズを反映した安定的な推移が望ましい」とあらためて述べ、物価・賃金の上昇メカニズムが回復しつつあるとの認識を示した。
- 高市首相から具体的な政策要望はなかったとされ、一方で「財政の持続可能性を確保し、経済運営への信認を維持したい」と述べ、市場への配慮をにじませた。
- 会談内容には目新しさは乏しく、市場に大きな動きは生まれなかったが、外国為替市場では円安が進行し、円相場は1ドル=155円台後半(11月18日21時現在)、1ユーロ=180円台をつけた。
- 高市政権の経済対策が大型化するとの観測から財政悪化への懸念が広がり、円売り圧力が強まっている。
- 高市首相が12日の経済財政諮問会議で植田総裁に利上げをけん制したため、12月の利上げの可能性が後退したと受け止められたことも影響したとみられる。
- 輸入物価の上昇が続く中、物価高を抑えるため日銀に早期利上げを求める声も市場では根強い。
今回の高市首相と植田総裁の会談は、円安や金利観測が揺れる中で市場の注目を集めたが、内容自体は従来の説明をなぞるもので大きな方向転換は見られなかった。日銀の12月利上げ観測は後退し、高市政権の大型経済対策への思惑も相まって、円相場は不安定な状態が続いている。

令和7年11月18日 首相官邸で日本銀行の植田和男総裁と会談を行う高市首相 首相官邸HPより






