中国政府が日本産水産物の輸入手続きを停止したことが明らかになった。表向きは「処理水モニタリング」を理由とするが、台湾有事を巡る高市首相の国会答弁への対抗措置とみられ、長期化の可能性も指摘されている。影響が限定的な水産物を中心に「切りやすいカード」を先に出した形だ。
- 19日、日本産水産物の輸入手続きを中国側が停止したことが判明した。政府関係者によれば、中国は「福島第1原発の処理水に関するモニタリングが必要」と主張しているという。
- 日本産牛肉の輸出再開に向けた日中政府間協議も、中国側の意向で中止になっていたことが明らかになった。処理水問題だけでなく、政治的判断が強く影響しているとみられる。
- 台湾有事をめぐる高市早苗首相の国会答弁に対する「報復的措置」の可能性が高い。日中アジア局長協議が行われた直後で、狙い撃ちのタイミングとの見方も出ている。
- 水産物を対象にしたのは、中国側にとって影響が比較的軽い分野で、国内向けアピールをしやすいからだとの指摘が多い。処理水放出開始の2024年以降、日本から中国への水産物輸出額はすでに激減し、実質的な影響は限定的とみられている。
- 一方で、価格帯の高い水産物については、今後も東南アジア経由の「迂回輸出」が続くとの見通しも。
- 中国側が本気で経済制裁をエスカレートさせるのかどうかを見極める試金石になるとの声が出ている。
- 中国は不動産バブル崩壊と若年失業率の悪化など、国内経済の不満が高まっており、対外強硬姿勢でガス抜きを図る動きも指摘されている。今回の措置もその一環との分析がある。
今回の水産物輸入停止は、中国が使えるカードの中でも国内向けの効果が大きく、日本側の実害は比較的少ない「軽めの一手」だといえる。ただ、一度振り上げた拳は下ろしづらく、今後さらに踏み込むのかどうかが注目点といえる。
逆説的にいえば、あとは一度拳を振り上げたらなかなかおろしづらいカードばかりのような気がします。このまま本当に中国がエスカレートさせる気があるのか、試金石となる措置が今後出るか注目です。
— 劉彦甫 (@LIU_Yen_Fu) November 19, 2025
経済低迷が深刻化する中国が対外強硬策をどこまで利用するのか。日本側には冷静な見極めが必要だ。

劉勁松アジア局長 中国外交部HPより






