「中国リスク」で大騒ぎする前にやることがある

中国政府が日本への渡航自粛を国民に呼びかけていると言う情報もあり、宿泊施設の中には中国人のキャンセルでビジネスに影響を受けているところもあるようです。特に団体予約はキャンセルになると一気に客数が減ってしまいます。

しかし、1つの地域や国に宿泊客が集中しているとキャンセルリスクが高くなる。これは中国に限らずどこでも同じことです。

ビジネスの基本は分散です。経営者としてまず大切なのは事業分野を分散させることです。

中国人のキャンセルで宿泊施設のダメージがあったとしても、ビジネスエリアが分散されていて、例えば宿泊ビジネス以外にも収益源があればその影響を相対的に小さくすることができます。

また、宿泊ビジネスだけに特化しているとしても中国人だけではなく、他の国や地域の人たちを分散して受け入れるようにしておけば、特定の国の人たちが来なくなってもあまり困る事はありません。

ちなみに、資産デザイン研究所の売上や利益の中での宿泊ビジネスの比率はそれほど高くなく、不動産部門であれば日本に住んでいる人を対象とした賃貸物件が大半を占めています。

また私が運営してもらっている宿泊施設に関しても中国人の比率は1割以下で今回の騒動の影響はほとんどありません(写真は中野新橋の物件)。

まとまった宿泊客が簡単に集まるからといって、特定のグループに依存したり団体客を当てにするの効率性は高まるかもしれませんが、集中リスクを抱えることになります。

今回の中国人の来日中止による宿泊キャンセルがどこまで広がるかは分かりませんが、このような事態は他の国やエリアでもこれから送り得ると言う前提でビジネスを展開していくべきです。

テレビのワイドショーのような番組で今回の影響によって宿泊が苦境に陥っていると嘆いている宿泊施設が出演しています。これは、厳しい言い方になるかもしれませんが自分の経営能力がないことを公共の電波で拡散しているようなものです。

自分のビジネスがうまくいかない理由を政府のせいにする「他責」の前に、自分の努力不足を恥ずべきです。

そして、ビジネスのやり方の問題を認め、それを改善することを一刻も早く始めた方が良いでしょう。

BlackSalmon


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年11月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。