立憲民主党の岡田克也元外相が、高市早苗首相の「台湾有事は存立危機事態になり得る」との国会答弁を批判した。しかし、このやり取りの発端は岡田氏自身が「どのケースで存立危機事態になるのか」と繰り返し問い詰めた結果であり、今回の議論は建設的な国防論から大きく逸脱している。国防の核心を議論すべき場が、失言探しの「禅問答」に堕している点で深刻な問題を孕んでいる。
台湾有事をめぐって「どういう場合に存立危機事態になるか」と執拗に聴いた上で、高市氏が存立危機事態の定義に沿った一般的見解を述べると「軽々しく言うべきではない」「戦争に至る道」と人格否定してキレる一連の【禅問答】は、もはや国会質疑を利用したハラスメントですhttps://t.co/geqGtY4Nqx
— 藤原かずえ (@kazue_fgeewara) December 1, 2025
- 岡田克也元外相は時事通信のインタビューで、高市首相の国会答弁を「軽々しく言うべきではない」「戦争に至る道」と批判した。しかし、この答弁は11月7日の衆院予算委員会で岡田氏が台湾有事を想定し「どの場合に存立危機事態になるのか」と繰り返し問い質したことによって引き出されたものだった。
- 高市首相は、武力行使の新3要件に基づく一般的な定義を説明したに過ぎなかったが、岡田氏は「非常にまずい発言だ」と断じ、人格批判に近い内容にまで踏み込んだ。この過程には「失言を引き出すための誘導尋問」と言える。
- 各社世論調査では、高市首相の発言について「問題ない」が約5割を占めている。これに対し岡田氏は「危機的状況だ」と述べ、質問した側が批判されている状況に不満を示した。
- 岡田氏は「首相は発言を事実上撤回できるはずだ」とし、「武力行使の3要件に基づく総合判断が必要で、発言は配慮を欠いた」と説明するべきだと主張した。ただし、高市氏が地名を挙げたわけではなく、台湾海峡の話題をまず持ち出したのは岡田氏自身であった。
- 悪化する日中関係について岡田氏は「お互い冷静になる必要がある」と述べたが、台湾有事の現実的リスクに触れず、むしろ集団的自衛権の手足を縛る方向からの問題提起に終始した点に、「国防より憲法を優先する倒錯した発想」「安全保障論として不誠実」との批判が出ている。
- また、立憲民主党が掲げる「安保法制の違憲部分を廃止」の方針についても「非常にあやふやだ」と言及。自身が会長を務める外交・安保調査会で、次期衆院選までに党見解をまとめたいとしている。一方で、今回の一連の質疑騒動がまさにその「あやふやさ」を象徴しているとの指摘がある。
- 今回の騒動については、「失言を引き出すための国会質疑」「建設的議論を妨げるハラスメント的な追及」との批判も多く、国防政策をめぐる本質的な議論を停滞させたとの問題意識が広がっている。
今回の騒ぎの最大の原因は、高市首相が台湾海峡に踏み込むよう仕向けた岡田氏自身の質問姿勢にある。存立危機事態は本来、国民の生命と国家の存立に直結する重大テーマであり、本来なら政党の立場を超えて具体的かつ現実的な議論を深めるべきである。にもかかわらず、野党側が「失言誘発」を狙う万年野党的な政治手法に固執していては、国防の議論が前に進むはずがない。憲法論争よりも、まずは国をどう守るかという現実的議論を行うことが求められている。

岡田克也・立憲民主党常任顧問 Xより






