ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、トランプ大統領は先週のラジオインタビューで、米国が「大きな施設」を破壊したと発言し、ベネズエラ国内の麻薬取引関連施設を攻撃したことを示唆した。
米政府関係者は、この発言がベネズエラ領内にある麻薬施設への米国の攻撃を指していることを認めているが、作戦の詳細については明らかにしていない。

トランプ大統領とベネズエラ・マドゥロ大統領 トランプ大統領Xより
同紙によれば、この攻撃は中南米からの麻薬流入を阻止するための軍事作戦の一環であり、麻薬を積載していると疑われる船舶を標的にする米軍の取り組みと連動している。
トランプ大統領は「船が出てくる大きな施設があり、それを叩いた」と述べ、具体的な地名には触れなかったものの、ベネズエラを念頭に置いた発言だったとみられている。
こうしたベネズエラ領内への攻撃は単発の事例にとどまらず、第二次トランプ政権の一年目に見られた一連の軍事行動の流れの中に位置づけられると考えられる。
ナイジェリアでの限定的な軍事行動や、中東におけるイランへの空爆など、地域を異にしながらも、標的を絞った武力行使が断続的に行われてきた。いずれも大規模な戦争への拡大を避けつつ、軍事力の行使を通じて相手に明確なシグナルを送る点で共通している。
これらの動きを総合すると、第二次トランプ政権の対外姿勢は、大規模な軍事介入や長期的な紛争を回避する一方で、抑止力を維持・強化するためには限定的な攻撃も辞さないという特徴を持つとみられる。
軍事力の誇示と実際の行使を通じて安定を確保しようとする、いわゆる「力による平和」を志向する姿勢が、政権一年目の外交・安全保障政策の基調となっている。






