政府は国内で使用されるドローンの量産に補助金を出します。これは机上の空論であり化失敗するでしょう。せいぜい税金チューチュー企業を潤すだけで終わります。
ドローンの国内量産化へ助成、年8万台の体制整備目指す…政府方針
政府は、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資に追加指定した「ドローン(無人航空機)」の国産化支援に乗り出す。
国内での安定供給に向け、研究開発や設備投資に必要な費用の最大50%を助成し、2030年時点で8万台の生産体制を整備する。支援対象は、消防など災害用のほか、橋や道路などのインフラ点検や、農薬散布など農業分野で使われるドローンを想定している。機体だけでなく、モーターや電池など主要部品の生産設備も含める方針だ。
25年度補正予算には、今後3年間の補助を念頭に関連費用として139億円を計上した。26年に基金を設けて支援体制を整える。
国内には本格的なドローンの量産拠点がなく、少量生産が主体とみられ、「供給の9割以上を中国メーカーが占めている」(関係者)のが現状だ。業界団体の日本産業用無人航空機工業会が加盟73社に実施した調査では、24年の国内生産は年間計約1000台程度にとどまる。
政治家から何かやれと言われて現場の官僚が適当にでっちあげた政策で実効性皆無です。

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まず電波規制が厳しく、まともにドローンを飛ばせません。周波数帯もさることながら、スターリンクなどを使って衛星経由での操縦も現状禁止です。
手足を縛って海に落とされて泳げというようなものです。それで集まってくるのは補助金目当ての屑企業ばかりでしょう。
更に申せば日本の当局にドローンに関する知見が欠けている。そりゃ、法規制でまともに飛べないのにSHIELD構想とか言ってドローンを大人買いすることろからもわかるでしょう。童貞のおっさんがAV教科書にしておねいさんを口説こうとするようなものです。
防衛技術ジャーナルの最新号のウクライナでも取材をしている報道カメラマンの横田徹氏のインタビュー(聞き手部谷直亮氏)記事で、FPVドローンは飛距離が短く、誘導砲弾みたいなもので、これを防衛省は偵察用として導入することを批判していました。
こういう知見が防衛省や自衛隊にはない。
問題は政治家にこういう問題意識が欠如していて、優れた我が国の技術をもってすれば、みたいな寝言を信じているので危機感も問題意識もないことです。
まずやるべきことは以下の通りです。
1)電波法の規制を取り払うこと
2)調達までの期間を短縮すること
3)調達計画をまとも立てること。例えば3年で200機とか5年で500機とか、きちんと計画を立てて、予算を確保すること。
こうすれば企業はその間の売り上げが確保できます。逆に現状それがないから、初めに数機調達されても翌年その次の調達がわからない。量産体制をとれないのは当たり前です。別に難しいことではなく、他国では普通にやっていることです。それができないのは政治と行政の無能です。これがクリアできないといくら補助金使っても無駄です。
4)メーカーと商社のマッチングを進める。
中小企業やスタートアップ企業は人手や資金がたりません。しかも防衛省や警察などの役所と付き合いも面倒くさい、だから商社とマッチングして営業やファイナンスのサポートができる、あるいは出資を助けるようにすべき。昨年末の陸自のイベントでも帝国繊維が犬型ロボットのスタートアップ企業に出資し、展示をしておりました。こういう取り組みを後押しする仕組みが必要です。
5)海外展示会の出展のサポート。
採用での補助金より、よほど効果的です。これも商社と組んでやった方が、成功率が高い。最近は円安もあって海外見本市の視察ですら大金がかかります。ぼくの場合だと欧州までプレミアムエコノミー使って、3つ星クラスのホテルに泊まるとざっくり100万円はかかります。コロナ以前はその半分以下でした。
ましてや出展、それにともなう渡航費、もろもろの経費になると以前の何倍も費用が掛かります。この費用を半分なり全額国が持てばいい。
海外企業だと日本の役所とやるよりも話が進むのが早いし、大量に買ってくれる可能性が高い。無論売れない企業もあるでしょうが、10社に支援して、1、2社でもものになればいいでしょう。無論出展は1回ではなく、数年のタームで考えるべきです。これはジェトロにやらせてもいい。
海外から大量に発注があれば量産コストは下がります。それを自衛隊も採用すればいい。開発を指導する能力がない装備庁や自衛隊があれこれ口出すよりまともなものができます。また常に実際に運用する顧客から要求が来るので技術が飛躍的に向上します。
6)利益率を上げる。
現在防衛装備の利益率は8パーセントから15パーセントまであられていますが、すでにご案内のとおり、その恩恵を受けるためには実績と膨大な書類提出が前提であり、既存の大手しか利用できません。本来スタートアップ企業や新規参入の中小企業にこそこのような優遇が必要です。逆に大手はそもそも実際の利益率が高いのでこのような好待遇をする必要はない。むしろこのような既存企業優遇をするから、業界の統廃合が進まず、防衛産業が弱体化しています。
7)開発を支援するために航空法や電波法などの規制を受けない特区のような飛行場を作るべきです。できるだけアクセスが便利なことろが望ましい。とりあえず、自衛隊の基地や演習場、使っていない農業空港などを利用すれば宜しいかと。
8)国防族の議員は最低年に1回は海外の軍事あるいは航空見本市を視察すること。それも御用商人や防衛省など現状を絶対肯定するような抵抗組織の人間ではなく、ニュートラルに説明できる人間をアテンドにつけて。それを20年も前からやっていれば、これだけ日本の無人機が遅れて、中国やトルコが躍進していることに気が付かないことはなかったでしょう。政治家が防衛省や自衛隊の制服からしかレクを受けていないから、世界がどうなっているか知らずに、テクノナショナリズムに洗脳されている。

帝国繊維がサポートしている犬型ロボット。
これらは政治の仕事です。政治家が現状を正しく認識しないとまともな政策は実現しません。
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大人の事情で商業媒体に掲載されなかった記事を、Noteで有料公開します。
Kindleで有料記事の公開を始めました。
いずも級、22DDHは駆逐艦に非ず。 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
暴力装置 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
東洋経済オンラインに寄稿しました。
拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い
https://toyokeizai.net/articles/-/911653
ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817
過去の著作の電子版が発売になりました。
『ル・オタク フランスおたく物語』
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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2026年1月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。








