ミネアポリスで起きた移民関税執行局(ICE)係官による女性射殺事件。
世界の紛争地を取材し続ける日本人戦場ジャーナリストが、こう書いていた。
あれだけ証拠映像があるにも関わらず、トランプが好きだからという理由(?)で、ICEの蛮行を擁護する日本人がそれなりにいることに絶望を覚える。
その嘆きは理解できる。しかし、問題の核心は個々の政治家ではなく、アメリカという国家の治安・司法構造そのものを理解していないことにある。
私は半世紀近くアメリカに暮らし、ロサンゼルス暴動、服部事件、十数回の反政府デモなど、数多くの「現場」を自分の足で歩き、自分の目で見てきた。事件ごとに細部は異なるが、アメリカの治安現場には決して変わらない“鉄則”がある。そしてその鉄則は、米国の法体系と判例に深く根ざしている。
私は半世紀近くアメリカに暮らし、ロサンゼルス暴動、服部事件、十数回の反政府デモなど、数多くの「現場」を自分の足で歩き、自分の目で見てきた。事件ごとに細部は異なるが、アメリカの治安現場には決して変わらない“鉄則”がある。そしてその鉄則は、米国の法体系と判例に深く根ざしている。
■ 1. 事実関係と法的評価の前提
映像を精査すると、被害女性に捜査官を轢き殺す明確な殺意はなかったように見える。しかし、射殺直前に車両が法執行官に接触していたことは確認されており、これは明白な公務執行妨害(Obstruction of Justice)に該当する。
さらにボディカメラ映像では、女性のパートナーが「(車を)動かせ!」と叫んでいる。状況次第では、これは“assault with a deadly weapon”(車両を凶器とみなす)を誘発する行為と解釈され得る。
また、被害女性は「通行人」ではなく、移民局に反対する組織の一員であった可能性が高い。これは動機の評価に影響し得る。
映像を精査すると、被害女性に捜査官を轢き殺す明確な殺意はなかったように見える。しかし、射殺直前に車両が法執行官に接触していたことは確認されており、これは明白な公務執行妨害(Obstruction of Justice)に該当する。
さらにボディカメラ映像では、女性のパートナーが「(車を)動かせ!」と叫んでいる。状況次第では、これは“assault with a deadly weapon”(車両を凶器とみなす)を誘発する行為と解釈され得る。
また、被害女性は「通行人」ではなく、移民局に反対する組織の一員であった可能性が高い。これは動機の評価に影響し得る。
■ 2. 米国法における「車両=致死性の武器」という原則
米国の判例では、車両は**致死性の武器(deadly weapon)**として扱われる。
特に連邦法執行官に対して車を動かす行為は、以下の罪に該当し得る。
• 18 U.S.C. §111(連邦職員への暴行・抵抗)
• Assault with a deadly weapon(凶器による暴行)
• Attempted vehicular homicide(車両による殺人未遂)
つまり、
「車を動かした時点で、法執行官は“致死的脅威”と判断する法的根拠を持つ」
というのが米国の法体系である。
日本の「タイヤを撃てばよかった」という議論が成立しないのはこのためだ。タイヤがパンクしても、ホイールだけで人を致死的に轢くことが可能であり、米国では常識として共有されている。
米国の判例では、車両は**致死性の武器(deadly weapon)**として扱われる。
特に連邦法執行官に対して車を動かす行為は、以下の罪に該当し得る。
• 18 U.S.C. §111(連邦職員への暴行・抵抗)
• Assault with a deadly weapon(凶器による暴行)
• Attempted vehicular homicide(車両による殺人未遂)
つまり、
「車を動かした時点で、法執行官は“致死的脅威”と判断する法的根拠を持つ」
というのが米国の法体系である。
日本の「タイヤを撃てばよかった」という議論が成立しないのはこのためだ。タイヤがパンクしても、ホイールだけで人を致死的に轢くことが可能であり、米国では常識として共有されている。
■ 3. 発砲の正当性:判例に基づく評価
米国では、警察の発砲の正当性は**Graham v. Connor(1989)**の判例に基づき、
「合理的な警官がその瞬間にどう判断したか」で評価される。
今回の発砲は3発。
• 1発目:車両が法執行官に向かうと判断した瞬間
→ 正当防衛(self-defense)として成立し得る
• 2・3発目:車両が横方向へ移動中
→ 逃走中の容疑者への発砲は違法となる可能性
被害女性の頭部に命中した弾丸が1発目なら当局に有利、2・3発目なら過剰防衛の疑いが強まる。
映像分析の結果、私は1発目ではなく2発目(または3発目)である可能性が高いと判断している。
米国では、警察の発砲の正当性は**Graham v. Connor(1989)**の判例に基づき、
「合理的な警官がその瞬間にどう判断したか」で評価される。
今回の発砲は3発。
• 1発目:車両が法執行官に向かうと判断した瞬間
→ 正当防衛(self-defense)として成立し得る
• 2・3発目:車両が横方向へ移動中
→ 逃走中の容疑者への発砲は違法となる可能性
被害女性の頭部に命中した弾丸が1発目なら当局に有利、2・3発目なら過剰防衛の疑いが強まる。
映像分析の結果、私は1発目ではなく2発目(または3発目)である可能性が高いと判断している。
■ 4. 現場の心理的背景:ICE職員の過去の負傷
今回のICE職員は、半年前に運動家の車に轢かれ、テーザー銃を発砲しながら重傷を負っている。
この事実は、**“reasonable fear”(合理的恐怖)**の判断に影響する。
米国の裁判では、
「過去の負傷経験が警官の危険認識を強めた」
という主張はしばしば認められる。
つまり、職員が“車両は自分を殺し得る”と判断したことは、法的に説明可能である。
今回のICE職員は、半年前に運動家の車に轢かれ、テーザー銃を発砲しながら重傷を負っている。
この事実は、**“reasonable fear”(合理的恐怖)**の判断に影響する。
米国の裁判では、
「過去の負傷経験が警官の危険認識を強めた」
という主張はしばしば認められる。
つまり、職員が“車両は自分を殺し得る”と判断したことは、法的に説明可能である。
■ 5. 自分自身の体験が示す「米国の現実」
私は現場で何度も銃口を向けられた経験がある。
そのたびに両手を大きく掲げ、車外であれば地面に伏せた。
それが“生き残る方法”であることを、身体で理解している。
米国の治安現場では、
「警官の指示に従わない=致死的リスク」
という構造が法体系と判例によって制度化されている。■ 6. フロイド事件との比較:法的には別次元今回の現場から歩いて10分の場所で、ジョージ・フロイド事件が起きた。あれは抵抗不能になった被害者を押さえ続けて死亡させた、明白な故意の殺人である。
私は現場で何度も銃口を向けられた経験がある。
そのたびに両手を大きく掲げ、車外であれば地面に伏せた。
それが“生き残る方法”であることを、身体で理解している。
米国の治安現場では、
「警官の指示に従わない=致死的リスク」
という構造が法体系と判例によって制度化されている。■ 6. フロイド事件との比較:法的には別次元今回の現場から歩いて10分の場所で、ジョージ・フロイド事件が起きた。あれは抵抗不能になった被害者を押さえ続けて死亡させた、明白な故意の殺人である。
しかし今回の事件は、
• 被害女性が停止命令に背いた
• 車両を動かした
• 法執行官に接触した
という点で、法的構造が根本的に異なる。
今回全米に広がった抗議活動は、この射殺事件そのものよりも、職員を急いで倍増。トランプ政権第二期目から厳格化した移民局の対応。その不満の蓄積が爆発した側面が強い。
• 被害女性が停止命令に背いた
• 車両を動かした
• 法執行官に接触した
という点で、法的構造が根本的に異なる。
今回全米に広がった抗議活動は、この射殺事件そのものよりも、職員を急いで倍増。トランプ政権第二期目から厳格化した移民局の対応。その不満の蓄積が爆発した側面が強い。
■ 7. 訴訟の見通し:被害者側は極めて不利
この事件は連邦政府が調査を主導する。
訴訟にはなるだろうが、以下の理由で被害者側が敗訴する可能性が高い。
1. Graham基準が警官に極めて有利
2. 車両が“致死性の武器”とみなされる
この事件は連邦政府が調査を主導する。
訴訟にはなるだろうが、以下の理由で被害者側が敗訴する可能性が高い。
1. Graham基準が警官に極めて有利
2. 車両が“致死性の武器”とみなされる
3. 過去の負傷経験が“合理的恐怖”を補強
4. 被害女性側に公務執行妨害の事実がある
5. パートナーの発言が不利に働く可能性
仮に民事で勝訴しても、遺族に渡る賠償金は“スズメの涙”に終わるだろう。
4. 被害女性側に公務執行妨害の事実がある
5. パートナーの発言が不利に働く可能性
仮に民事で勝訴しても、遺族に渡る賠償金は“スズメの涙”に終わるだろう。
■ 8. 過失割合の再評価
当初は被害女性側の過失を1割程度と見ていたが、
新たな事実と法的基準を総合すると、現時点では7割程度に修正すべきと考えている。
当初は被害女性側の過失を1割程度と見ていたが、
新たな事実と法的基準を総合すると、現時点では7割程度に修正すべきと考えている。






